<全国高校バスケット選抜優勝大会:明成69-56福岡一>◇男子決勝◇29日◇東京体育館

 明成(宮城)が高校総体王者の福岡一(福岡)を下し、創部5年目にして初優勝の快挙を成し遂げた。終盤まで一進一退の攻防が続いたが、相手に疲れの見え始めた第4クオーター(Q)残り6分から一気に4連続得点。99、00年と仙台(宮城)を率いて同大会連覇を成し遂げた佐藤久夫監督(60)の指導の下、相手に応じて変幻自在に戦術を変えていく「カメレオンバスケ」を結実させた。

 「突撃体勢だ!」。第4Q残り6分、佐藤監督の大声でチームが一気にトップギアへと切り替わった。司令塔のPG畠山俊樹主将(3年)が巧みなドリブルで切れ込むと、ボールはSG高田歳也(3年)へ。高田は「自分の仕事。決めてやろうと思った」。放った3点シュートは、放物線を描いてネットに吸い込まれた。56-54。以降も3連続得点を挙げた明成が、初優勝の栄冠を勝ち取った。

 チームを率いた佐藤監督は99、00年連覇をはじめ仙台を同大会で3度の優勝に導いた実績を持つ。そんな佐藤監督がチームに課したテーマが、敵に応じて変幻自在に戦術を変える「カメレオンバスケ」だった。大型外国人留学生2人を擁する高校総体王者に対して「1対1を出されては勝機はない。前半は我慢して、残り5分で勝負を掛けよう」と指示。名将の作戦がピタリと的中した。

 畠山主将が「(佐藤)久夫先生のバスケは人の心を動かせる情熱バスケ。優勝できてよかった」と感極まった。佐藤監督も「今まで経験した中で最高の勝利」と思わずうれし涙。創部5年目で、高校バスケに新たな歴史を刻んだ。【山田大介】