<全国高校バスケット選抜優勝大会:札幌山の手94-42就実>◇女子2回戦◇24日◇東京体育館

 高校総体、千葉国体で2冠を達成した札幌山の手(北海道)が、就実(岡山)をダブルスコアで下し、3冠に向けて好発進した。第1クオーター(Q)終了時点で35-9と一方的展開に持ち込むと、第2Qからは控え選手を大量起用。1年生の新堀京花が5本の3点シュートを決めるなど、リードをさらに広げ、課題だったチームの底上げに満点回答で応えた。難しい初戦を快勝で飾り、道勢初優勝へ死角は見当たらない。

 今大会初陣で札幌山の手が新戦力の台頭を高らかにアピールした。1年生シューター新堀京花の放ったシュートは、きれいな放物線を描き、おもしろいようにゴールリングに吸い込まれた。第3Qはフリーになると、遠目からとにかくシュートを放つ。全15得点はすべて3点シュート。新堀は「緊張しました。先輩たちが打たせてくれました」と謙遜したが、プレッシャーのかかる初戦で堂々のプレーを見せた。

 3冠に向けて準備は整った。高校総体、国体で全国Vの原動力となった先発陣が試合をつくり、大きくリードした第2Qから、控え選手が次々と登場した。新堀に負けじと、石川瑞季(2年)も長岡に次ぐ8リバウンド10得点と活躍した。終わってみれば全15選手が、試合に出場。先発メンバー以外が総得点の3分の1となる計31得点を奪った。

 高校総体、千葉国体で課題となっていたのが先発メンバーと控え選手との力の差。上島正光コーチ(66)は「ディフェンスがダメ」と反省を口にしたが、この試合で選手層の厚さを見せ、解消のメドが立った。

 決勝まで4試合の長丁場を見据え、戦術面での試運転も済ませた。第2Qはインサイドを中心に攻撃し、相手のファウルをもらいながら、フリースローで得点。逆に第3Qは、3点シュートで得点を重ねた。各Qごとにテーマを持って戦いプレーと動きを確認。後半はベンチで試合を見ることが多かった町田主将は「中でやってる時と風景が違う。どこが空いているとかが分かる」と、今後のゲームメークのヒントもつかんだ。

 下級生も3冠を後押しする。バスケットボールを持ったまま睡眠するという新堀は、全国出場を目標に札幌山の手に進学。入学後、約半年で3冠という偉業に挑戦している。「先輩たちもプレッシャーはあると思うので、できるだけのサポートをしたい」。3冠に向けた山の手の戦いが、クリスマスイブとともに幕開けした。【石井克】