今回は、国際交流、地域交流、施設慰問の3つを柱に活動する神奈川県の社会人チアダンスチーム「ラフィネス」です。創設から10周年を迎えたチームに、これまでの活動から得たものについて聞きました。

社会人チアダンスチーム、ラフィネス
社会人チアダンスチーム、ラフィネス

ラフィネスは、代表の瓜生桂さんが2010年に設立した。きっかけは、大学時代の経験から「地域に根差したチームを作りたかった。そして、やりたくても大学にチアチームがない人の受け皿になりたかった」と瓜生さんは話す。

結成当初は、母校・横浜隼人高と東海大のソングリーダー部OGがメンバーで、地域貢献活動とともに、大会に出場して上位入賞も目指していた。12年全日本チアダンス選手権大会では、POM部門で準優勝している。現在はイベントで出会った学生や初心者もメンバー入りし、活動の輪が広がっている。「初心者でも上達できる。いつからでもチャレンジできることをメンバーに伝えています」。

16年の大会後は、国際交流、地域交流、施設慰問の3つを柱にさまざまなステージを経験してきた。

国際交流では毎年、「日米親善春まつり スプリング・フェスティバル」や「アメリカンフェスティバル&盆踊り」(ともに米海軍厚木基地)でチアダンスなどのパフォーマンスを披露。昨年には「トルコフェスティバル」(代々木公園)にも出演した。メンバーは、食や音楽、外国語でのコミュニケーションなどを通して海外の文化を吸収。観客からはエールを受け取っている。

日米親善春まつり スプリング・フェスティバルでチアダンスを披露
日米親善春まつり スプリング・フェスティバルでチアダンスを披露
トルコフェスティバルに出演
トルコフェスティバルに出演

地域交流や慰問活動では、毎年「秦野たばこ祭」で、大勢の子どもたちとチアダンスのクリニックを行い、さまざまな世代に喜ばれている。東日本大震災後は山形県上山市を毎年訪問。ラフィネス相談役で東海大准教授の森久保俊満さんが、特命観光大使として横戸長兵衛市長とともにまちおこしを手がけていたためだ。震災の風評被害で観光客が激減した同市で「山形ワインバルinかみのやま温泉」を応援。また、保育園や高齢者、障がい者施設も訪問している。瓜生さんは「どこへ行っても、演技後に握手しています。その時のお年寄りや子どもからの“ありがとう”の言葉が何よりの励みです。中には感激のあまり泣きながら手をとってくれる人もいます。それが、人とのぬくもりを感じられる一番すてきな時間」とチームでその思いを共有している。

さまざまな活動を通して“チアスピリット”の大切さを実感したという。「あらためてチアという言葉の意味を知りました。ただ演技を楽しむだけではなく、さまざまな境遇や世代の方が住んでいる地域でパフォーマンスすることにより、お互いを応援し合ったり、支え合ったり、思いやりを持って接する経験ができました。チアは、演技者だけでなく、見る側の感動にもつながるスポーツです」。

神奈川県の高齢者施設を慰問
神奈川県の高齢者施設を慰問

チーム名の由来は、フランス語で「上品な」という意味を持つ「Raffine(ラフィネ)」にsをつけた造語。女性として、1人の人間として、成長する場所でありたいとの思いが込められている。「真心を持つこと、教養を深めること、視野を広げることが大切と考えています。最終的な到達点として、競技者の人格形成としての活動の場になれば良いなと思っています。今は目標の途中ですが、メンバーの心の育成につながり、大きな可能性を感じています」。

節目の10周年を迎えて「これまで、いろんな場所や人との出会いから、勇気や元気を与える立場でありながら、逆に元気をもらい、地域の皆さまと一緒に築きあげてきた10年でした。今後も、国際交流、地域交流、施設慰問の3つを柱に、神奈川を拠点としてさまざまな場所へ出向きたい。今後は、メンバーを増やして、国内外の大会に出るなど、活動の幅を広げていきたいです」と話した。

12年全日本チアダンス選手権大会POM部門で準優勝
12年全日本チアダンス選手権大会POM部門で準優勝

◆Raffines(ラフィネス)10年創設。メンバーは10人で高校生や大学生も含む。週に2回、2~3時間の練習を実施。上山市特命観光大使を務める代表の瓜生桂さんが、メンバーとともに同市の地域活性化に取り組んでいる。