<第86回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根-東京(5区間109・9キロ)

 城西大の途切れたタスキが、初のシード権獲得とともに復活した。01年に男子駅伝部が創設されて区切りの10年目に、過去最高の6位と躍進した。胴上げで3回宙に舞った櫛部監督は「これまで(1万メートルの)記録だけのタイム番長と言われてきた。本当に長かった」と感激もひとしおだ。

 シード権ぎりぎりの往路10位からのスタートだった。山下りの6区で岡本(4年)が8位に押し上げると、7区の石田(3年)が区間2位と好走、7位に順位を上げて流れをつくった。8区との中継地点でタスキをつなぐと、石田は「ありがとうございました」と泣きじゃくった。

 悪夢からの復活劇だった。昨年は8区を走り、19・8キロ地点で低血糖状態となり途中棄権した。黄色のタスキが初めて途絶えた。箱根後は「部を止めよう」とも考えたが、両親の「箱根を走れなくて泣いている人の方が多い」という声に励まされて思いとどまった。

 この日、青森から上京した両親に、石田は「区間賞を狙う」ことで恩返しするつもりだった。沿道からの両親の声援に、石田は力強くうなずいた。「本当に感謝しています」。惜しくも区間2位だったが「ようやく昨年の借りが返せた」と笑った。

 来年は、石田を含めて今年の経験者が6人残る。櫛部監督も「能力の高い子がいるので、3位、優勝と狙える」。今年根付いた自信が芽を出した時、城西大の未来に、伝統の箱根がほほ笑むに違いない。【吉松忠弘】