<全国高校ラグビー:秋田工48-0若狭東>◇30日◇2回戦◇花園

 Aシード秋田工(秋田)は、若狭東(福井)に完封勝ちし、25年ぶり16度目の優勝に向けて好スタートを切った。初戦の不安を払拭(ふっしょく)。前半3分、高校日本代表候補のFB成田秀平主将(3年)の右中間トライを皮切りに、計8トライ4ゴールを挙げ、順当に元日の3回戦(愛知・西陵戦)に駒を進めた。

 13年ぶりにAシードへ返り咲いた秋田工が、評判通りの実力を発揮した。完封劇の最後は、高校日本代表候補でチーム最長身(190センチ)の左フランカー宮川智海(3年)が中央ライン付近の相手ラックからボールを奪い、ゴール中央に約40メートルのダメ押しトライ。直後にノーサイドの笛を聞いた宮川は「独走トライは気持ちがよかった」と花園デビューを振り返った。

 大会2戦目の相手に対して、秋田工はメーンスタジアム(第1グラウンド)での初戦。さらに冷たい降雨というコンディションだった。黒沢光弘監督(51)は「シード校にとって(初戦の)12月30日は鬼門。警戒も緊張もしていたが、まずはノートライでよかった」と安心の表情を見せた。

 高校日本代表候補5人中、故障明けのSO伊藤龍之介(2年)とWTB伊藤悠成(3年)を温存。代わって出場したSO吉田悠太(3年)とWTB村井遥介(2年)も結果を出した。先制トライで緊張を解きほぐした成田主将は「(右展開のラインで)自分が余っただけ。回りの選手が動いてくれた」と冷静に分析した。

 全国最多の出場64度目の出場で、通算128勝目を挙げた。1大会平均2勝だが、今年のチームは、そんなデータは眼中にない。黒沢監督は「久々にいいタレントが集まった。全国制覇を口にできる。残り4試合といえる」と強気の姿勢を貫いた。さらに「接点がゆるかった。ボールへの寄りの強さとスピードを修正したい」と反省も忘れなかった。

 12年公式戦を白星で締めた。明日元日の「事始め」となる3回戦には伊藤龍、伊藤悠も復帰予定。成田主将は「Aシードのプレッシャーはありますが、挑戦者の気持ちで積極的に戦いたい。25年ぶりになる自分たちの歴史をつくりたい」と4半世紀ぶりの全国制覇を見据えた。【佐々木雄高】