ソチ五輪金メダルの羽生結弦(22=ANA)が、平昌(ピョンチャン)五輪シーズン初戦のSPで、いきなり自身が持つ世界最高得点を更新する112・72点をマークした。

 2季ぶり3度目のショパンのピアノ曲「バラード第1番」を演じ、最初の4回転サルコーをきれいに成功。ピアノの1つ1つの音に合わせるように動きをつなぎ、後半のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、4回転-3回転の連続トーループも美しく決めた。終盤のステップではピアノの音に体を合わせるように激しく体をしならせ、会場のボルテージを最高潮に上げ大歓声に包まれながらフィニッシュした。

 4回転サルコー、トリプルアクセルは出来栄え点最高の3点、連続技も2・80点をマーク。ステップ、スピンも全て最高のレベル4を取り、技術点合計は、15年GPファイナルでマークした61・81点を超える64・17点と歴代最高を更新した。表現点では15年GPファイナルで出した49・14点には0・59点届かなかったが、5項目すべて9点台の評価を得た。

 会心の出来に演技後は、「ほらみて、ここまでできたよ」と、ブライアン・オーサーコーチに向けて、両手を広げてみせた。右膝痛を抱え、4回転ループを回避。それでも世界最高点を出せた充実感があった。「しっかりとこの構成で、いい演技ができたこと、本当にミスなく自分としても非常に納得できる演技で、ショートを終えられた。構成を落としているから、当然みたいな感じで言われるかもしれないですけど、構成落とそうがなんだろうが、後半ですべてを出しきるというのは、非常に難しいことだと思っている」と胸を張った。

 大記録にも、「まぁ初戦だし、やっぱりこれをベースに戦っていかないといけない」と落ち着いているのが王者の証し。最高の形で、18年平昌五輪シーズンが始まった。