五輪女王が復活した。リオデジャネイロ五輪女子48キロ級金メダルの登坂絵莉(24=東新住建)が決勝で田中亜里砂(京都八幡高職)を下し、五輪以来、約1年1カ月ぶりの復帰戦で優勝を飾った。

 決勝までの全3試合をテクニカルフォールで勝利したが、試合後は内容に少しいら立ちを見せた。「思ってた以上に硬くなった。『行ける』というタイミングで行けず、厳しい試合でした。このままでは勝てない」と漏らした。準決勝、決勝では先取点を取られた後に逆転する展開で、準決勝では30秒で0-6とリードされた。「一瞬、負けるのかなと…。負けている状態でないと行けない弱さがある。最初から攻める選手にならないといけない」。自身に言い聞かせるように言った。

 登坂は左足に慢性的な痛みを抱え、今年1月に左足親指付近の手術を受けた。6月の全日本選抜選手権を欠場し、4連覇が懸かっていた世界選手権出場も断念。「最終目標は20年東京五輪」と決めてリハビリに専念し、6月に本格的な練習を再開した。「五輪の最高の状態から地獄のような下まで落ちて、今日、マットに立てたことが本当にうれしい」と感慨深げに語った。

 来年1月からは新階級が採用され、女子最軽量級は48キロ級から50キロ級になる。48キロ級には今年の世界選手権で優勝した須崎優衣(18)らのライバルがいる。登坂はこの日、53キロ級で出場したが「今後は50キロ級で頑張りたい。どんな状況であろうが私が東京五輪に出たい」と決意を新たにした。

 栄強化本部長は「登坂選手も完璧でないこともある。久々だし、今日は悪いところを知っただけでもプラスになる。50キロ級は誰が代表になっても世界で通用するので楽しみしかないです」と話した。