小林潤志郎(雪印メグミルク)がW杯個人戦63試合目で初優勝した。ジャンプ男子の日本勢のW杯優勝は、2014年11月の葛西紀明(土屋ホーム)以来3季ぶりで13人目。

 平昌冬季五輪シーズンの個人開幕戦で、自身も驚く初勝利を手にした。小林潤はK点(120メートル)を大きく越える飛躍をそろえて優勝。ソチ五輪2冠のカミル・ストッフ(ポーランド)、昨季の世界選手権2冠のシュテファン・クラフト(オーストリア)を従えて表彰台の真ん中に立ち「想像以上なのでうれしい」と照れたような笑みを浮かべた。

 50人中17番目に飛んだ1回目はやや力んで124メートル。だが、後半に飛んだ有力選手も伸び悩み、2位につけた。2回目はK点を6・5メートル越える会心の飛躍で逆転。2回とも不利な追い風が強く、条件に恵まれない中で安定した飛躍を出せたことが勝因だった。

 今季は夏の国際大会のグランプリ(GP)で2勝を挙げた。その感覚を条件が異なる冬にうまく移行できている。好調の要因は助走路の滑り。これまでは膝が前に入りすぎるなど不安定な面があったが、今季はしっかり姿勢が固まり「動かなくなった。飛び出すパワーをしっかり蓄えて滑れている」と胸を張る。

 岩手・盛岡中央高時代に世界ジュニア選手権を制したノルディック複合の選手だった。東海大2年の時に本格的にジャンプに絞り、2011年にW杯デビューしてから62試合は1桁順位さえなかっただけに「長かった」と本音も漏れた。

 試合後の優勝インタビューに、たどたどしい英語で答えた。来年2月の五輪へ期待が膨らむが、慢心はない。「まだまだ長い。もっと上を目指してやる」と表情を引き締めた。