静岡県沼津市の私立高、飛龍の相撲部をボランティアで指導していた夫婦による、セクハラ問題について26日、同校の坂根英夫校長(70)が取材に応じた。

 セクハラをしたのは、同部OBで警察官の20代の夫と、世界大会に出場経験がある30代で元沼津市の臨時職員の妻。部の顧問に誘われ、昨年4月から週2回ほど指導に当たっていた。同校によれば、セクハラは顧問が不在の練習中に繰り返し行われた。一部報道では、夫は男子部員が着替え中に体に巻いていたタオルを女子部員の前ではがし、妻は男子部員に「自分の胸を見たいか」などと発言したとされる。

 当時部には、姉妹で2人の女子部員が所属していた。現在被害を訴えているのは姉1人で、両親が昨年10月に様子がおかしいと感じ、話を聞いたところ夫婦の行為が発覚。顧問に連絡し、学校は同月から、夫婦の学校への出入りを禁止した。その後、女子部員は部活動を続けていたが、2月に男子部員から「再度、夫婦に指導してもらいたい」との声があがり、顧問は再び指導をお願いする方向に動いた。これを知った女子部員と家族が抗議。同月、校長と顧問、夫婦はそろって女子部員と家族に謝罪した。結果的に指導を受けることは無く、夫婦の出入り禁止は継続となったが、顧問に不信感を抱いた2人は休部を選択した。

 被害を受けた女子部員は、学校側の聞き取り調査に対し「はずかしめられた」と話したという。セクハラの具体的な内容などについては「しゃべれない」と口を閉ざしており、把握できていない。

 坂根校長は「危機管理体制が不十分でした。再発防止に向けて組織づくりを進めます」と話し、被害を訴えた女子部員については「最大限のケアに努めます」と約束した。

 沼津市の担当者によると、3月に被害を受けた部員の両親が市役所を訪れた際に、苦情を受けて事態を把握。当時臨時職員だった妻にも聞き取りを行ったが、双方の言い分に差がみられたという。両親は警察に被害届を提出していたため、警察の発表を待ってから処分の有無や内容を検討する予定だった。既に妻は3月31日に退職しているが、担当者は「市として処分が可能かどうか分からない」と話し、今後の対応については引き続き検討するという。

 同校は相撲の強豪校として知られ、3月に行われた全国高校選抜の男子団体で初優勝を果たした。来月12日に開幕する高校総体県大会には、出場を予定している。