世界12位の錦織圭(28=日清食品)が完敗した。予選勝者で同32位のダニル・メドベージェフ(ロシア)の前に、1度も相手のサービスゲームを破ることなく、2-6、4-6のストレート負けを喫した。錦織は16年2月のメンフィスオープン以降、ツアー・シングルス決勝で8連敗となった。次戦は、既にこの日開幕している上海マスターズに出場する。

ツアー2年8カ月ぶりの完全復活優勝が吹き飛んだ。錦織は「今日はいいテニスができなそうだなと最初から思っていた。いい感覚が得られなかった」。マッチポイントでのプレーが、この日を象徴していた。フォアを打った瞬間、球はラケットのフレームに当たり、観客席まで飛び込んだ。「あ~!」というため息が超満員の会場に響いた。表彰式を待つ間、「ショックはショックだった」とタオルをかぶり座り込んだ。

第1セットの1-2で迎えた第4ゲームだった。自分のサービスゲームでダブルフォールト、当たり損ねのフォア、そしてバックの凡ミスで、簡単に失った。「いつも入るショットがなかなか入らなかった」。今大会の好調さがうそのような簡単なミスが続いた。

先にサービスゲームを落としたことで、相手を完全に勢いづけた。第1セットの第1ゲームの最後のポイントから相手のサービスゲームで21点連続で失った。9度の相手のサービスゲームで、1点も奪えなかったのが7度。第2セットにいたっては、21点中1点しか奪えなかった。

これで決勝で8連敗。「なかなか全力を出そうとしても出せなかった」。それでも「決勝まで来られたのは評価できる」と気持ちを切り替えた。【吉松忠弘】