SP首位の羽生結弦(23=ANA)が、アクシデントを乗り越えて自身初のGPシリーズ2大会連続優勝を果たした。午前の練習で4回転ループを跳んだ際に右足首を負傷。ジャンプ構成の難度を下げたフリーで167・89点を出し、合計278・42点でGPでファイナルを含む通算10勝目を挙げた。

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けがの不安がある中で4回転ジャンプでプラスのGOE(出来栄え点)がとれる。技術的な高さを証明したし、うまくしのいだともいえる。けがをしての優勝はすごいし、気持ちの強さは、羽生選手らしさだ。ただ、この優勝は手放しには喜べないものだろう。

限界で戦っており、高いレベルで難しいことをやっているから、しょうがないとはいえ、けがには細心の注意を払うべきで、去年も今年も同じようなけがをした。すべてが本人のせいではないが、やはり不注意という部分もあるだろう。

けがをすると、ジャンプの構成を落とすことになる。結果、今回のようにリカバリーもうまくいかず、羽生選手が「滑りたい」と思っていたプログラムもできなくなってしまう。「けがをして頑張る」のではなく、「けがをしない」という予防も含めて、どう克服していくか、今後の五輪王者の滑りに期待したい。(10年バンクーバー・オリンピック代表、11年世界選手権銀メダリスト)