12年ロンドン五輪柔道女子57キロ級金メダルの松本薫さん(31=ベネシード)が7日、都内で引退会見に臨み、27年間続けた柔道への思いを語った。

闘志むき出しのスタイルで「野獣」の異名を取る松本さんは、自身が続けてきた柔道は「教育柔道」だったと明かした。トップアスリートが競技を続ける上で、例えば「サッカーなら『キャプテン翼』のボールは友達みたいな。やっぱり、その競技が好きでないと駄目という洗脳がずっとあった。私も『柔道が好きだ』『柔道が好きだ』と思ってやってきたけど、どこか違うなと思った」と独自の見解を示し、引退して柔道と向き合うと「別に嫌いでもなく、好きでもなかったことに気づいた」と告白した。柔道はあくまでも「目標であり夢」で、柔道を通じて成長したことで「教育柔道」と説いた。

ロンドン五輪と16年リオデジャネイロ五輪の代表選考は「私が絶対に出る」という強い決意と覚悟があった。しかし、17年6月に第1子の長女を出産し、育児と両立しながら目指した20年東京五輪については「『出られたら良いな』というぐらいふわっとしていた」と思い返した。

第2の人生は、ベネシードが新規事業として12日に東京富士大構内にオープンさせるアイスクリーム店にスタッフとして携わる。「これまで柔道で笑顔を届け、次はアイスクリームで世界中のみんなを笑顔にしたい」。柔道家として最後の会見は涙なく、会場は松本さんが最も大切にする「笑顔」に包まれていた。