柔道女子52キロ級で18年世界選手権金メダルの阿部詩(18=兵庫・夙川学院高)が「継続は力なり」の精神で、20年東京五輪金メダルを目指す。2日は神戸市の同校で卒業式に出席。式では涙を流し、約1年半後の五輪へ「本当に国民の全員が期待している試合。必ず私が出て、優勝するよう心に決めている」と誓った。

夙川学院には中学から6年間通い、高校3年間は運動部の女子が集った「グローバルアスリートコース」でクラス替えなし。同校ハンドボール部時代に「継」の愛称だった担任の内橋静さん(29)に、たびたび「継続は力なり」と言われた。高校入学当初に「勉強も頑張らないとね」と背を押され、高1の5月、席替え時に教卓前の最前列を志願。そのまま3年間貫いた。

新たな心がけは柔道にも生きた。阿部は「寝技を毎日やりました。苦手だった時も、得意だった時も、やりたくない時も。成果が出てきたかなって思います」。昨年、初めて世界女王となり、秋のグランドスラム(GS)大阪大会も制して、今年の世界選手権(8~9月、日本武道館)代表に内定。国際的に活躍する仲間が多くいた内橋学級でも、「一番強い人」が務める「クラス会長」を3年間全うし、目標であり続けた。

春からは男子66キロ級世界王者で、兄の一二三(21)を追って日体大へ進学。関東での楽しみも「遊びのこととかはあまりない。いろいろな選手と交わり、強くなれるチャンスがたくさん転がっている。そこが楽しみ」と言い切った。小さな努力を大切に、大きな夢へと手を伸ばす。【松本航】