2020年東京五輪の追加競技スポーツクライミングのスピード種目の国際大会「スピードスターズ」が12日、東京・昭島市のモリパークアウトドアヴィレッジで開催され、21歳の緒方良行(21=神奈川大)が、6秒37の日本新記録を樹立した。予選2本を6秒74、6秒80と安定したタイムで突破して、16人による決勝トーナメントに進出。準々決勝で昨年の世界選手権銅メダリストのココリン(ロシア)に0秒11差で敗れたものの、従来の日本記録6秒62を大幅に更新した。

ボルダリングでも15、17年世界ユース選手権、17年ワールドゲームズで優勝するなど国際大会での実績を誇る。今季のW杯ではスピード種目に出場していなかったが「練習では6秒6台くらいを安定して出せていた」とひそかに自信はあった。一方、今年3月の試合で満足な内容で優勝してから「常にポジティブに考えることができるようになった」と、メンタル面の充実も好調の要因だった。

小5のときにテレビで紹介されたボルダリングに興味を持ち、地元福岡県久留米市のジムで始めた。進学校の福岡県立明善高に入学後は、勉学優先で国立大を目指していたという。ところが、高3の時にクライミングが東京五輪の追加種目となり、同年の世界ユース選手権で優勝したことで、競技専念を決めた。

東京五輪でスポーツクライミングはボルダリング、リード、スピードの3種目の複合で行われる。日本人が最も苦手としているスピードで緒方は1歩リードした。「今後も練習して5秒台を目指したい。クライミングは日本男子のレベルが均衡している。自分もそのトップの選手層に入っていると思う」と、激戦の東京五輪代表へ自信ものぞかせた。