2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の陸上トラックを大会後も存続させる方向で政府や日本スポーツ振興センター(JSC)が調整していることが4日、分かった。17年7月、後利用を考えるスポーツ庁のワーキングチームが大会後の球技専用化を決め、同11月の関係閣僚会議で報告されていたが、収益化が見込めないなどの理由から、陸上トラックを存続させる方向で再検討していた。

関係者によると、音楽イベントを開く際、陸上トラックがあった方が会場設営や運搬に便利だという。逆に球技専用だと、それらに支障が出るため、JSCが聞き取り調査した民間業者から、存続すべきとの声が寄せられていた。

球技専用を政府方針として決めた2年前にも、「もし五輪の陸上で世界新記録なんかが出ても、その記念すべきトラックを撤去してしまうのか」という心配の声は上がっていた。スポーツ界の重鎮の中でも、本当にトラックをなくして良いのかという意見が根強く残っていた。