日本が決勝で前大会銀メダルの強豪フランスを4-2で下し、3連覇を達成した。全15チームがトーナメント方式で争った中、初戦の準々決勝で韓国、準決勝でブラジルをともに4-0で快勝。

決勝では男子73キロ級金メダルの大野将平、女子78キロ級銀メダルの浜田尚里らを起用する布陣で、新種目として採用される20年東京オリンピック(五輪)の前哨戦を制した。日本は男女各2階級を制した個人戦に加え、5個目の金メダルを獲得した。

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「本家」の意地を示した。2年連続で強国フランスとの決勝。聖地に「ニッポン」コールが響き渡った。3-2ともつれる接戦となったが、最後は女子78キロ級銀メダルの浜田が同級女王のマロンガに個人戦の雪辱を果たした。1分22秒。裏投げから横四方固めで勝負を決めた。「絶対に勝って、ここで優勝を決めようと思った。チーム一体となれた」と振り返った。

78キロ超級代表の素根と朝比奈のコンディション不良により“緊急登板”した。朝食時に増地監督から連絡があり、慌てて準備した。井上監督も1年後を見据えて全員が準備するように伝えた。

総合力での優勝だった。日本柔道は普段、男女別で稽古を行う。そのため課題だった一体感の醸成へ「モチベーションビデオ」が役立った。全日本柔道連盟科学研究部が1年間かけて準備し、担当コーチのメッセージなどを5分間の映像に編集。東京五輪に向けて「原点回帰」をテーマとした動画は、全23選手のピーキングに合わせて渡された。

柔道発祥国として頂点を目指す日本代表の誇りや自覚が伝わる内容で、選手の気持ちを奮い立たせた。この日はスタッフらにも今大会までを編集したビデオが渡された。男子分析担当の鈴木利一さん(31)は「(映像の効果は)数字では表せない力がある。個だけでない日本柔道の組織力が世界一ということも証明された」と話した。

今大会は団体戦要員を登録出来たが、東京五輪での出場者は個人戦の代表に限られる。代表争いが激化する中、男女混合団体では、選手とスタッフらの個の力が集結した日本のチームワークがうかがわれた。全ては1年後の大舞台で栄光を勝ち取るため-。オールジャパンで万全の準備を進める。【峯岸佑樹】

▽男子90キロ級の村尾三四郎 アピールしようと思ってやった。決勝は負けたけれど、2試合できたのは来年の東京五輪など今後に向けて必ずプラスになる。

▽男子73キロ級の橋本壮一 出番が最終日だったので待ちくたびれた。少しは自分もいるというのをアピールできたかなと思う。

▽男子73キロ級の大野将平 団体戦は個人戦とは違うプレッシャーがあるが、個人戦優勝で気持ち的には余裕があった。来年に向けて、いい経験ができた。

▽女子70キロ級の新井千鶴 個人戦で負けて下を向いたけれど、まだチャンスがあると思って気持ちを切り替えた。やってきたことを出し切るだけだった。