【メルボルン=吉松忠弘】2連覇を狙った世界4位の大坂なおみ(22=日清食品)が、天才少女に完敗した。19年全米3回戦の再現となった15歳で同67位のコリ・ガウフ(米国)に3-6、4-6のストレート負け。この敗戦で、2月3日発表予定の最新世界ランキングで9位以下に転落することが確定した。

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テニスの内容も、気持ちも、まったく上がってこなかった。相手のガウフが天才少女とかは無関係。大坂自身の集中力がどこかに行ってしまったかのように、ただのミスが続いた。「何をやってもだめな日だった。まだチャンピオンとしての精神的な強さがない」と肩を落とした。

それにしても不可解な敗戦だった。昨年の全米以降、気持ちが上がらない試合は、まったく見られなかった。前年覇者の重圧なら、昨年の全米も同じこと。しかし、全米3回戦では驚異の集中力でガウフを蹴散らした。その集中力のかけらもなかった。

ガウフの第1サーブが、好調だったことは事実だ。全米の時は第1サーブで得点を取れた率は42%だったが、この日は76%だった。大坂も「彼女のサーブはとても良かった」と認めている。それにしても、大坂が自分のサービスゲームをキープしていけば問題はなかった。

昨年の対戦と何が大きく違ったか。大きな違いは、1度対戦して勝っていたことだ。「絶対有利という重圧を感じた。それに(負けたことで)相手は、絶対に向かってくる。その重圧にもやられた」。前年覇者ゆえの負けられない重圧が重なり、トリプルパンチを食らって自滅した格好だ。

自身がまだ不安定なことは認めている。100%でプレーできない時に、どうやって勝つか。それを「まだ探している」最中だという。そして、それは「試練だと思う。みんな人生で試練を抱えるが、私はそれがテニス」と、自身に問いかけるように話す。

この敗戦で世界ランクは9位以下に落ちるが、最大目標の7月の東京オリンピック(五輪)までには時間はある。「もう守るものはない。今度は優勝だけ考えられる」。気持ちをリフレッシュし、五輪に向けて再スタートする。

◆全米3回戦VTR(19年8月31日) 2連覇を狙う大坂が完璧なテニスでガウフに完勝した。第1セットは両選手が合計5回、相手サービスゲームをブレークし合う「ブレーク合戦」となった。大坂はミスショットが目立ち、崩れそうになりながらも鋭いバックショットを要所で決めて6-3と先取した。第2セットは大坂が強烈なショットで圧倒し、危なげなく6-0。終わってみれば1時間5分での快勝だった。試合後は涙を流すガウフを抱きしめ、一緒にコート上で勝者インタビューを受けるよう誘った。敗者のガウフがこれに応じた。大坂の心遣いにファンからは称賛の声が相次いだ。