アメリカンフットボールの日本一を決めるライスボウルが今年で終了の見通しとなった。関係者が6日明らかにした。日本協会は今月中に臨時理事会を開いて最終決定する。ライスボウルは84年から、社会人と学生の代表が対戦する日本選手権として開催されてきた。近年は社会人が12連勝中と実力差が顕著となり、現行方式での役目は終えたとの判断となった。来年以降については、Xリーグ優勝決定戦など新方式での開催を検討していく。

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正月スポーツ風物詩の1つが変わる時が来た。社会人と学生の王者が対決するライスボウルは今年の1月3日が最後になる。今大会はオービックが7年ぶりで制した。関学大も前半は健闘したものの、最終的には35-18。新型コロナウイルスの影響で試合時間が1クオーター(Q)15分から12分に短縮も、社会人の12連勝を許した。社会人連勝期間の平均スコアは、ほぼ同じ32-15のダブルスコア。勝負という面白みが薄れたのは確かだった。

ラグビー日本選手権も96年度まで同様の方式だったが、その後トーナメントになり、17年には学生枠がなくなった。格闘球技で経験差は大きい。オービック大橋ヘッドコーチ(HC)は「コンタクトのピークは20歳代後半以降」と話し、関学大大村監督は「力の差がありすぎる」とお手上げだった。

大差がつくたびに開催意義を問う声は出ていた。学生側の安全面を危惧する声も強くなった。そうした状況から、日本協会は昨年8月にライスボウル見直しワーキンググループ(WG)を設置。現場代表として日本代表HC経験もある東大・森HCを座長にすえ、10月まで6回にわたって協議してきた。

学生は4年間だが、社会人に年数規制はなく、選手寿命も延びている。そこへ米国人選手が加わり、日本人選手のプロもいて、両者の枠組みが違う。90年代前半までの学生優位から実力が逆転し、その差が開くこととなった。

ライスボウルの当初の役目は果たしたとのWGの提言が、11月の日本協会理事会で示された。日本学生協会、日本社会人協会は近日中に意見をまとめる。その後に日本協会臨時理事会を開いて結論を出すが、提言を受け入れる意見が大勢を占めている。

コロナ禍で入場制限の今年を除き、社会人優位となっても、ほぼ毎年3万人以上の観衆がつめかける。1月3日にボウルゲーム開催の価値は高い。来年以降は新たな方式で継続を協議する。日本のトップリーグとなる社会人Xリーグの優勝決定戦、元々の東西学生オールスター戦復活などのプランが出ているという。

◆ライスボウル 社会人と学生の代表が対戦し、日本一を決めるアメリカンフットボールの日本選手権。今年まで38回開催され、社会人が12連勝中で26勝12敗。この大会は48年に東西学生選抜対抗戦として始まった。日本のアメリカンフットボール誕生50年を記念し、84年から日本選手権として毎年1月3日、92年から東京ドーム開催となった。名称はボウルゲームでは開催地の特産品名をつけることから、日本の主食の米から英名ライスを冠した。

<ライスボウルを飾ったQB>

◆初の学生と社会人 日大の松岡は85年にレナウンを破って、初の日本一をもたらした。翌86年にはレナウンに入社し、関学大を下して2年連続で日本一となった。学生と社会人でMVPに輝いた最初の選手となり、昨年殿堂入りした。

◆通算4度日本一 京大の東海は87、88年とレナウン相手に連覇して、いずれもMVPを獲得した。アサヒビールに入社して、93、94年にも京大、関学大を下して連覇し、通算4度日本一となった。昨年殿堂入りした。

◆4連覇をけん引 オービックの菅原は11年から関学大などを相手に最多となる4連覇を達成した。法大時代の06、07年に連敗の雪辱を果たした。11年から3年連続MVPは最多受賞。