フィギュアスケート女子で全日本選手権2連覇中の紀平梨花(19=トヨタ自動車)が、22年北京五輪代表最終選考会となる今季の同選手権(22日開会式、23~26日、さいたまスーパーアリーナ)を欠場する意向を固めたことが20日、複数の関係者の話で分かった。右足首故障からの回復が間に合わなかった。代表選考において同選手権への参加は必須で、初の五輪は絶望となる。男子は、五輪2連覇の羽生結弦(27=ANA)が出場する見通しであることが分かった。

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拠点のカナダから帰国し、調整してきた紀平が苦渋の決断を迫られた。複数の関係者によると、痛めていた右足首の状態が思わしくなく、全日本選手権を欠場する意向を固めたという。

日本連盟の五輪代表選考基準では同選手権出場が必須で、故障などやむを得ない理由で欠場の場合も選考の対象となるのは「過去に世界選手権大会3位以内に入賞した実績のある選手」と記されている。紀平の世界選手権における成績は、19年の4位が最高で条件を満たさない。国際大会で活躍してきた日本女子のエースだが、欠場すれば北京五輪の代表は絶望となる。

トリプルアクセル(3回転半)や4回転などジャンプの高難度化が進む世界に、日本の先頭で食らい付いてきた。前回の平昌五輪は、前年6月30日時点で満15歳の年齢制限を、わずか3週間の差で満たさなかった。それでもシニア1年目の18年グランプリ(GP)ファイナルで五輪金メダルのザギトワ(ロシア)を上回り、05年浅田真央以来、男女通じて2人目のGPデビューシーズン優勝を飾った。「北京五輪金メダルという夢がある」と練習に打ち込み、昨季の全日本選手権で国際スケート連盟(ISU)非公認ながら、シニア日本女子唯一の4回転(サルコー)を成功させた。

事態が暗転したのは7月だった。右足首を痛めて「右足関節骨軟骨損傷」の診断を受けた。10月のGPシリーズ第2戦スケートカナダを欠場。回復が遅れて11月の第4戦NHK杯も出場を取りやめた。9月からは、カナダ・トロントで五輪男子2連覇の羽生結弦(ANA)らを担当する世界的指導者のブライアン・オーサー・コーチに師事。徹底的な自己管理で、五輪代表3枠、その先のメダルを目指してきた。最後まで可能性を信じ続けたが、苦渋の決断を下すことになった。

◆紀平梨花(きひら・りか)2002年(平14)7月21日、兵庫・西宮市生まれ。4歳で競技を始め、16年に女子世界7人目となるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)成功。17年全日本ジュニア選手権で初優勝し、18年GPファイナル、19、20年4大陸選手権優勝。155センチ。