3連覇中の小松原美里(29)小松原尊(ティム・コレト=30)組が68・16点で首位発進した

最初のエレメント(要素)のツイズルで美里の滑りが乱れるミスが出たが、その後はディスコナンバーに乗って派手に舞い、聴衆を魅了。パーシャルステップシークエンス、ダイアゴナルステップなど先月のグランプリ(GP)シリーズNHK杯から修正し、点数を伸ばした。

ミスがありながらも、国際スケート連盟(ISU)非公認ながらも、自己ベストとなる68・16点をマークした。

試合後、美里は「ツイズルから失敗してしまい、そこからすごく怒っていたので、力としては元気な演技ができたと思います」。得点の伸びには「あまり驚きという感じではなかった」と自信が結果に結びついていた。尊も「ミスの後は一緒に頑張りながら、いい演技を出せた。明後日、もっと頑張りたい」と笑った。

22年北京オリンピック(五輪)の代表1枠を争う村元哉中(28)高橋大輔(35)組(関大KFSC)に転倒があったことには「えっ」と美里が口に手を当てて驚き「知らなかった。だから点数が伸びていなかったんですね」と神妙な表情で話した。

その村元、高橋組は63・35点の2位で4・81点のリードを奪ったが、自分たちに目を向ける。ツイズルでは失敗しましたけど、パーシャルステップ、どの角度でレベルが取れるターンを入れるか研究してきた。NHKより大きく違ったな。1年前なら出せなかったと思うし、成長だと思う。そのおかげで点を出せた」と進化の要因を語った。

2位に終わったNHK杯の後は2人で涙した。今は違う。強くなった2人は言う。

美里「ひとつ、大きなターニングポイントだったなと。自分のインタビューを見ていて『この子、弱いんじゃないか』と思ったくらい。でも2人で何でスケートしているか考えた時、地元(岡山・倉敷)で練習して、自分たちでどうにかしないとなと。深い部分に2人で気付けた。点がどうであろうと滑っているのは楽しいと強く気付いた。毎日練習していたら、互いに、個人的にも強くなったのかな」

尊「カナダの先生たちから学んだのは、本当に自分たちの演技をするということ。今日の練習前も(最後は自分のしてきたことを信じて滑ってきなさい、という)カナダの先生からメーセッジがきて、恥ずかしいですけど泣いちゃって。自分たちの心の中でカナダの先生もいるぞ、と感じました。今日も楽しめた」

勝負のフリーダンス(FD)へ立ち直った2人。25日は女優夏木マリの協力を受けて日本語ナレーションに改良した和の「SAYURI」に全てを込める。【木下淳】