部員17人で挑んだ飯田の冬が終わった。OBで就任1年目の小林克監督(27)の目は潤んでいた。

「ここから勧誘が始まります。何とか15人にして、ここに戻ってきたいです」

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教え子は最後まで諦めなかった。伝統は展開ラグビーだが、県内の強豪である岡谷工に勝るサイズを生かし、モールを強化した。この日もピッチの横幅5分の1程度のエリアに15人が集まり、モールを押し込む場面があった。背番号18の小池大誠(3年)は夏まで白球を追った野球部。後半から出場すると、懸命に身体を張った。小林監督は「今日もナイスタックルがありました。感動しました」と誇らしげに言った。

1回戦では富山第一に勝利。この日も同校ではパブリックビューイング(PV)が行われた。10人の3年生が引退すると、残るのは2年生5人、1年生2人の計7人。新体制もまずは合同チームになる予定だ。

「1年生が2人なので、まずはもう少し(校内で)声かけをしたい。授業でラグビーもあるので、仮入部でも始めてくれたら…。PVで、熱さが伝わってくれているとうれしいです」

地方の県立校ならではの難しさもある。19年W杯日本大会で日本代表が躍進。そのプレーのイメージがつき「僕たち、あんなのできません」と口にする新入生もいたという。ちょうど10年前の12月30日、全国高校大会の2回戦で山沢拓也(現埼玉パナソニックワイルドナイツ)を擁する深谷(埼玉)に敗れた。その試合に途中出場していた小林監督は、しみじみと言った。

「その時は『先生だってやれないよ』と伝えました。飯田だけでなく、全国のもっと多くの子たちに、ラグビーをやってほしいなと思います」

かけがえのない足跡を聖地に残し、長野に帰る。【松本航】

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