悲願の「歴史的1勝」が17試合目で実現した。開幕16連敗で最下位のアランマーレ秋田が東京羽田に73-66で競り勝ち、Wリーグ参入後初勝利を挙げた。加入2年目で副主将の砂川夏輝(26)が40分間コートに立ち、3点シュート3本成功を含む両軍最多26得点をマーク。Wリーグでのプレーを夢見て、南国沖縄からやってきた「シーサーガール」が、北国秋田で輝きを放った。

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勝敗が決まる第4クオーター。アランマーレ秋田が、リードのまま時計が進んでいく。終了間際。ベンチに座り、手のひらを合わせていた選手たちが、立ち上がってコートを見守った。そして鳴り響くブザー。両腕を突き上げながら喜ぶと会場から大きな拍手が起こった。あいさつを終えて、試合中は真剣な表情を貫いた砂川がチームメートの笑顔を見ると、この日一番の笑顔をはじかせた。

次第に音が高まる応援に背中を押された。インサイドにドライブし、果敢にシュート。内外からリングを捉えて会場を何度も沸かせた。「今季最後のホーム戦で運営スタッフの方も演出に力を入れてくださって。自分たちのモチベーションも上がっていた」。相手には大学時代の先輩で、東京オリンピック代表の本橋菜子(28)らがおり「大学時代、一緒にやった仲間との試合で気合が入っていた」と奮い立ち、今季最多得点と同最少失点での快勝に大きく貢献した。

沖縄から秋田に来てもうすぐ2年。最初は「来たときに雪があったので、写真を撮っていました」と見慣れない雪に笑顔を見せたが、強い気持ちで東北に来た。入団から1カ月後。17年ぶりとなる新規参入が決まり「不安もあったんですけど、それを目指しているから自分は来た。参戦できるうれしさはあった」と振り返る。本年度から副主将に就任し、チーム最多の1試合平均13・4得点と一瞬を逃さない積極的な守備で目標の「攻め続ける」を体現してきた。

今日16日は初の2連勝が懸かる。MVP級の活躍で勢いを与える1勝をつかんだが、満足はしていない。「目標は30得点。後半伸びず前半に決められたシュートがあったので、確率も上げてチームに貢献したい」。常に冷静で誰にも負けない熱い心の持ち主。最高の輝きを放つのは、これからだ。【相沢孔志】

▼アーリーエントリーでチームに合流した190センチのニアン・ンディ・クンバ(23=日本経大)が11得点、7リバウンドの活躍を見せた。同エントリー前の平均身長はリーグ最小で、これまでインサイドでの攻防に苦しんでいた。小嶋裕二三ヘッドコーチ(54)は「他の選手よりも高いところでボールをキープできる。点数を決めてくれたので、よく頑張った」と新戦力の活躍をたたえた。