スピードスケート女子で18年平昌五輪500メートル金メダリストの小平奈緒(35=相沢病院)が現役引退を表明した。

12日に長野県内で会見を行い、「私、小平奈緒は今年10月の全日本距離別選手権の500メートルを競技人生のラストレースとすることを決意しましたことをご報告させていただきます」と述べた。

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昨年の夏頃から未来像を語る場面が多くなっていったという。五輪周期では区切りを考えていなかったが、「自分の人生を次に進めるのはいいことかな」と決断に至った。

来季の開幕戦となる全日本距離別選手権は地元の長野県で開催される。「体をある程度自由にコントロールできる状態でもう1度レースをしたい。育ててもらった地元の信州で最後のレースをしたい。もう1つは五輪で終わりにするのはもったいないなと感じていて」と引退試合に選んだことを説明した。

長野県茅野市で生まれ、3歳でスケートを始めた。姉についてリングに初めて入ると、勝手に立って歩き、喜んで滑り始めた。そこから栄光の道が始まった。

10年バンクーバー五輪で女子団体追い抜き銀メダル、1000、1500メートルでは5位入賞。14年ソチ五輪は500メートル5位、17年には日本女子で初となる世界記録を1000メートルで樹立した。

18年平昌五輪では500メートルを制し、日本女子初の金メダリストに輝いた。同距離では16年3月から37連勝を記録するなど、世界女王として長く君臨した。

22年2月の北京五輪では、500メートルで17位、1000メートルで10位。試合後に、1月中旬に右足首の捻挫を負い、万全の調整ができなかったことを明かしていた。

残る現役生活は半年あまり。「アスリートとしてトレーニングしながら、地域でのイベント参加に協力をさせていただきたい」と先を見据えた。

 

◆小平奈緒(こだいら・なお)1986年(昭61)5月26日、長野県茅野市生まれ。2歳で姉についてスケートを始めた日に立って滑る。小5で長野五輪の清水、岡崎らの滑りに憧れた。伊那西高から信州大。06年にW杯初参戦。同大卒業後、09年から相沢病院に所属。五輪は10年バンクーバーの女子団体追い抜きで銀、1000、1500メートル5位入賞。14年ソチ五輪は500メートル5位。18年平昌五輪は500メートル金、1000メートル銀。17年に1000メートルで日本女子初の世界記録を樹立。500メートルは16年から37連勝も記録した。165センチ。

▽長野五輪男子500メートル金メダリスト清水宏保氏 金メダルを取った18年平昌五輪のピークの時期を持続させてきたのは素晴らしい。残り半年のスケート人生を楽しんでほしい。