釧路市出身のプロスケーター柴田嶺(りょう)さん(35)が、10日の滋賀県立アイスアリーナを皮切りに開幕するアイスショー「BEYOND」に出演する。座長を務める10年バンクーバー・オリンピック(五輪)銀メダリスト浅田真央さん(31)とのペアプログラムに臨む。来年3月まで続く全14都道府県を巡る公演への意気込みを聞いた。【聞き手=保坂果那】

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-10日から開幕する

柴田さん 昨年11月から練習を開始して、やることはみんなでやってきた。本番で出し切るだけ。

-出演決定の経緯は

柴田さん 昨年夏頃に(浅田)真央ちゃんから一緒にやらないかと連絡をもらった。当時は明治神宮外苑アイススケート場でインストラクターとして勤務していたけど、後日直接会う機会があって、新しいショーへの思いや挑戦してみたいことを話してくれた。真央ちゃんの「進化する」という思いを聞いて、僕自身も挑戦してみたいと思った。その後キャストのオーディションに参加させていただき合格できた。

-浅田さんが初のペアプログラム挑戦。そのパートナーを務める

柴田さん 真央ちゃんがカップルで本格的に滑るのは初めてだったけど、全く初めてと感じさせないくらい最初からスムーズだった。体幹が強いのでリフトをしていてもブレない。上の女の子がブレると下も不安定になるけど、全くないのですごく滑りやすい。

-苦労はなかった

柴田さん 僕がこうして欲しいと言ったことにすぐ対処できる。僕が支えて真央ちゃんがジャンプするスローイングのタイミングを合わせるのには少し時間がかかったけど、それ以外の部分ではスムーズだった。

-見どころは

柴田さん リフトや息の合った2人のスケーティングですね。

-10年に1度フィギュアスケートの競技から退き、16年に復帰。18年に現役を引退した

柴田さん シングルの選手としては10年までと決めていて、いったん引退し、2~3年スケートから離れていた。けど地元の釧路で指導を受けていた須貝麻里子先生(15年に56歳で死去)が体調を崩されて、ずっと「海外のショーを経験して欲しい」と言われていたので、2年ほどドイツや英国、オーストリア、オランダ、ベルギーでのツアーに参加した。その後、高橋成美ちゃん(14年ソチ五輪ペア代表)から誘われてペアを結成して、2年間復帰して、引退後は指導や振り付けなどをしていた。

-10月には帯広、12月には釧路での地元凱旋(がいせん)公演がある

柴田さん 地元でショーができるのはすごくうれしい。家族や友人が見に来てくれるのは楽しみ。来年3月までケガなく無事に全国をまわれるように、体調管理をしっかりやっていきたい。

◆柴田嶺(しばた・りょう)1987年(昭62)2月24日、釧路市生まれ。釧路興津小5年からフィギュアスケートを始める。釧路春採中-釧路北陽高-明大。男子シングルでは02年全日本ジュニア優勝、同年全日本選手権5位。世界ジュニアは03、06年の2度出場。ペアでは全日本選手権で16年4位、17年2位。同年アジア杯銅メダル。

◆「BEYOND」帯広公演 10月9、10日に帯広の森アイスアリーナで開催。チケットは発売中で、一部席種で11日までオフィシャル先行抽選を受け付けている。

■同郷中村優さんも出演

総勢11人の出演者には、柴田さんと同じ釧路市出身の中村優(しゅう)さん(26)も名前を連ねる。20年に現役を引退し、父と同じすし職人の道へ。公式ホームページでは「人と言葉を交わすことが難しい今の時代だからこそ、氷上から皆さまへ笑顔をお届けします!」とコメントしている。同郷の先輩として柴田さんは、「彼がスケートを始めた頃から知っている。一緒に滑れてうれしい。(2人にとって恩師の)須貝先生もきっと喜んでいると思う」と話していた。