ショートプログラム(SP)首位の三原舞依(23=シスメックス)がGPシリーズ初優勝を飾った。

フリー145・20点を記録し、合計217・43点。2位イザボー・レビト(米国)を1・69点差で振り切った。現地での取材を基に、優勝に至った過程を振り返る。【取材・構成=松本航(シェフィールド)】

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◆前日12日夜

女子SPで72・23点の首位発進。最後のルッツ-トーループの連続3回転が演技後半の実施(基礎点1・1倍)と認められなかった

「最初の出だしで4つぐらいピアノの音がなくて、途中からスタートになりました。自分の中で『どうしよう…』と思いながらも演技を続けた。(前後半の境目となる)1分20秒よりちょっと早くて、後半にならなかった。ただ、それがすごく悔しくて“1人反省会”をしていました」

◆13日の公式練習(午前8時35分開始)

2回転-3回転の連続トーループで珍しく転倒。曲をかけての通しも、2回転半が1回転半になる。

「『自分の体はどこにいったんだろう?』っていうぐらい、いつも通りに動けなかったです」

◆演技前(午後0時55分ごろ)

直前でレビトが合計215・74点を記録。拍手でたたえ、リンクイン。得点を聞くタイミングで、中野園子コーチと言葉を交わす。

「『このまま(過去に多かった)4位でいいの?』と言い聞かせました。(レビトの得点が)英語が聞こえてきて『すごいな~』と思っていました。中野(園子)先生に『集中力の天才!』って背中を押してもらって、すごくうれしかったです」

◆演技直前(午後0時56分ごろ)

スタート位置に近づくタイミングで太ももをたたく。その音が会場に響く。

「活を入れようと思って…。結構『バチンッ』と音がしましたよね(笑い)」

◆演技中

7つのジャンプを終えて、見せ場のステップからコレオシークエンス。こだわりのロングスパイラルを披露する

「たくさんの方が声援をくださった。コレオのところで『ありがとうございます~』って思いながら、滑っていました」

◆キス・アンド・クライ

得点を聞き、GPシリーズ初優勝が決まる

「『どうなるかな?』と思っていました。ジャンプが『全部良かった』っていう出来じゃなかったので…。縫いぐるみを盾にして(複雑な気持ちで)モニターを見ていました」

◆演技後の舞台裏

取材エリア横のモニターで、中野コーチと演技詳細をチェック

「レビト選手のところに『15(歳)』って書いてあって、私は23歳。『あら~』って思いました。私も(シニア)デビューは16歳のころ。『すごく前だな…』って思って。こうして(GPシリーズに)派遣していただいて、滑ることができて幸せです」

◆記者会見

上位3選手が出席。素直な思いを口にする

「グランプリシリーズで表彰台にも乗ったことがあまりなくて、本当にずっと4位だった。悔しさがたくさんあった。練習をしている時から『あなたもメダルを取れる。優勝しよう』と中野先生が言ってくれた。今日の金メダルは人生の中で、今までで一番大きな結果。『信じられない』っていうのが頭の中で大きいです。今までで一番価値のあるものに、仲間入りした金メダルになるかなと思います」