宮城で日本記録保持者同士のデッドヒートが繰り広げられた。エース区間の最長3区(10・9キロ)で、1万メートルNO・1の積水化学・新谷仁美(34)と5000メートルNO・1の日本郵政グループ(G)・広中璃梨佳(22)が激突。新谷が34分8秒で区間賞を獲得し、中学3年時から出場した駅伝ですべて区間賞と「不敗神話」を誇る広中を1秒上回った。資生堂が2時間12分28秒の大会新記録で16年ぶり2度目の優勝。2連覇を目指した積水化学は2時間14分29秒で2位に入った。

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積水化学・新谷が国内最高峰の対決を1秒差で制した。日本郵政G・広中とは日本記録保持者、東京五輪代表という共通点があり、今大会を象徴する大激戦を展開した。目安だった33分40~50秒に届かなかったものの、34分8秒で区間賞。「(クイーンズ駅伝は)箱根(駅伝)ほど人気じゃないので、おかしいですよね。だから、箱根ランナーはかなりむかつくんですけど(笑い)」と新谷節を交えつつ、「区間賞というタイトルを取った意味では、すごく落ち込むほどではないのかな」と受け止めた。

第2中継所で新谷は広中から3秒遅れの5位でタスキを受け取った。思うように体が動かなかったといい、レース前半は苦戦。「前半の5キロまではざんげしながら走りました。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいみたいな(笑い)」。それでも、中間点を過ぎたあたりから力強い走りを取り戻し始めた。

新谷は10キロ過ぎで広中を抜き、一時トップ浮上も、第3中継所手前でスパートをかけた広中に先着された。「最後は彼女の方が強かったです」。スタート時は4人を追う展開。「前に目標、ターゲットがいたことが、後半に動けた要因のひとつかなと思っています」。積水化学は首位日本郵政Gと2秒差の2位で後半戦を迎えた。

積水化学は宮城・大崎市出身の佐藤早也伽(28)が1区(7・6キロ)でトップから50秒遅れの区間9位と出遅れた。だが、仙台市出身の佐々木梨七(22)が最終6区(6・795キロ)で区間賞を獲得し、2位でフィニッシュ。レース後、新谷は責任を感じて涙ぐむ佐藤に対し「自分のことを責めて、泣いているんじゃないかなと思い、どーんと構えて『来い!』と思ったんですけど、なかなか来なかったので、自分から抱きつきました(笑い)」。宮城の地で新谷が強さと優しさを見せた。【山田愛斗】

○…7月の世界選手権1万メートル代表の五島莉乃(25)が、資生堂の優勝を決定づけた。後半のエース区間5区(10キロ)を31分40秒で走り区間賞。2位積水化学に同区間だけで1分31秒差をつけ、トップでアンカーにつないだ。「私はチームで優勝というものを人生の中でしたことがなく、本当に夢みたいで、すごくうれしかった」。昨年、自身が打ち立てた区間記録31分28秒に及ばず「『去年の自分を超える』のが目標で、達成できず悔しいですが『優勝したい』気持ちに後押しされ、最後まで走り抜けて良かったです」と振り返った。