倉敷(岡山)が試合終了間際で逆転に成功し、劇的な花園初勝利をおさめた。

5点を追う後半31分。自陣ゴール前の左中間ラックからつないだボールはWTB高比良洸太(3年)へ渡る。

「みんながつないでくれたボール。それを取り切るのがウイングとしての使命。そこを取り切れるように全力で走りました」

城東(徳島)のディフェンスの間を走り抜け、同点トライ。直後FB南虹平(3年)がゴールキックを決めたところでノーサイドとなった。ラストワンプレーで2点を勝ち越す、劇的な幕切れとなった。

50メートル5秒9の脚力を生かした激走。途中出場から仕事を果たした高比良は「自分がトライを取って勝ち越すんだというのはずっと頭の中にあった」と秘めた思いを明かした。

梅本勝監督(59)は「最後まで諦めずにやってくれた。それは評価したい」と、教え子たちの姿勢をたたえた。一方で「1人、2人で(相手に)行ってしまい、組織で動けていない」と課題も口にした。

これまで江の川(現石見智翠館)、尾道の監督を務め、花園に導いてきたベテラン監督。19年創部の同校を率いて前回大会で花園初出場を果たし、2年連続出場の今大会で初勝利を飾った。「個人の能力としてはすごくよくやっている」と話しつつ「チーム内の競り合いの厳しさはまだない。それができないと花園では勝っていけない」とさらなる成長を期待する。

次戦は30日、流通経大柏(千葉)と対戦する。高比良は「諦めないことが、勝利の女神が振り向いてくれると思う。次の試合でも諦めずに頑張っていきたい」と話す。目標の8強入りへ、弾みをつける花園1勝目になった。

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