来年2月のミラノ・コルティナオリンピック(五輪)の切符3枚をかけ、シーズン序盤から男子の争いが混沌(こんとん)としている。
1番手候補に挙がる鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)は84・94点で首位発進したが、表情は晴れなかった。銀メダルだった22年北京五輪での自己ベストを23・18点下回った。今大会は3月の世界選手権6位の佐藤駿(21=エームサービス/明治大)を除いて、ミラノ五輪の有力候補が集結。五輪最重要選考会となる12月の全日本選手権を引き合いに「真夏の全日本」と期した中での結果に、「これが今の実力」と受け止めた。
この時期の競技会出場は、シーズンが本格化する10月以降に備えてジャンプ構成などを試す狙いがある。鍵山はSPの全3本のジャンプのうち、今季から単発の4回転をサルコーからフリップに変更。基礎点が1・30点高く、少しでも得点を伸ばそうと試みている。
今季2戦目となったこの日も「チャレンジできる大会」と果敢に挑戦。転倒となったが「まずはこの構成でしっかりノーミスをしないと、前の構成とどれくらいの差があるか分からない。しっかり降りれば自己ベストを狙えると思う」と、今後も継続する姿勢を示した。
他の有力候補も着々と調整を進めている。鍵山と1・22点差の2位となった山本草太(25=MIXI)は、今季SPで21年から2季連続で使用した「イエスタデイ」を再演。「自信を持ってできるプログラム」と滑り慣れた曲で挑んでいる。8位発進の友野一希(27=第一住建グループ)は2本の4回転ジャンプでミスが出たものの「課題が出ることが今回の目的でもある」と前向きに捉えた。
鍵山、佐藤、山本、友野に加え、6位の壷井達也(22=シスメックス)、9位の三浦佳生(20=オリエンタルバイオ/明治大)も含めた6人は、五輪選考において重要なGPシリーズへの出場が決まっており、代表争いの有力候補。この日のSPで3位の中村俊介(20=木下アカデミー)、同4位の三宅星南(23=日本建物管財)らも力がある。
22年北京五輪以降は五輪2連覇王者の羽生結弦と五輪2大会連続メダルの宇野昌磨が競技の第一線を退いており、鍵山以外にとっては初の五輪を目指すシーズンとなる。3月の世界選手権に初出場した壷井は「ここから五輪の選考が始まっていると思いたい」と気を引き締めた。
この夏に流す汗も、半年後の夢舞台へ確かにつながっている。【藤塚大輔】
◆ミラノ・コルティナ五輪男女シングルの選考条件 出場枠は各3。全日本選手権(12月18~21日)の優勝者が最優先で代表入り。2人目は全日本の2、3位、グランプリ(GP)ファイナル(12月4~6日)の日本勢上位2人、全日本終了時で国際スケート連盟(ISU)公認のシーズン最高得点上位3人から選出。3人目は全日本終了時の世界ランキングや日本連盟独自の国際大会ポイントの上位3人などを選考対象に加える。


