国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が新設したシーズン最終戦「IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025」が23~26日、福岡県飯塚市で開催される。
日本は9月の世界選手権(韓国)男子ボルダーで初優勝した24年パリ五輪(オリンピック)複合の銀メダリスト安楽宙斗(JSOL)や、女子複合で21年東京五輪の銀メダルに輝いた野中生萌(28)らベストメンバーが結集し、世界初となる国別対抗戦(団体)の初代王者を目指す。
【男子日本代表】安楽宙斗(JSOL)天笠颯太(東洋染工)吉田智音(摂南大)
【女子日本代表】野中生萌(フリー)中村真緒(日新火災)谷井菜月(愛媛県山岳連盟)
男女の個人種目やパラ競技の垣根を越えた総合大会で、コンセプトは「-Team&Para Futures-」。日本初の試みとして、健常者とパラのクライミングが「一体」開催される。
実施されるのは、次回28年のロサンゼルス・パラリンピックで採用される「障がい8クラス(男女4ずつ)」(出場人数によってカテゴリーが変動する可能性あり)。国際舞台への挑戦機会が少なかった国や選手にも門戸を開き、未来のパラリンピアン発掘を促す。その意義を、IFSCパラクライミング委員会の青山アリア委員に尋ねた。
「ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と尊重)を最も重視していますので、IFSCや大会組織委員会の中で何度も話し合って、男女4クラスずつの開催を目指すことに決めました」
「一体」については「車いす卓球など、他にも同時開催できた大会は例がございます。スポーツクライミングも今回(9月)の世界選手権で、同じ時期に韓国のソウルで行われました。ただ、日本は比較的パラに関して進んでいる国ではあるんですが、これまでパラクライミングの国際大会が行われたことがなかったんです。そこで今回、初の『一体』開催にチャレンジすることになりました」
青山氏は、国内外で人気が沸騰しているバレーボールのネーションズリーグ(VNL)や、ワールドスケートボードなど大規模国際大会を成功させてきた実績がある。クライミング界からも、画期的な大会を開催できないか打診された。
快諾の上で、実現させたものが「交互実施」だ。今大会はリードの決勝(24日)から、パラクライミングの予選とボルダーの決勝(25日)を挟んで、最終日にパラ決勝(26日)を行う。
「パラ→健常者、パラ→健常者と相互に絡み合った形で。現実的にはウォールの設置だったり、場所の制限だったり、を勘案しながら準備しました。『一体』だけは最大の望みであり、譲れないところです」
「パラに関しては、つい先日もテレビ局の方をパラスキーの取材にお連れする機会があったのですが、正直、行く前はパラについて何か思うこと、感じることがない状態だったそうなんです。でも、いざ撮影を始めたら…スタッフの方々が全員、涙が止まらない状態になっていて。やはり見ていただくことができれば、ものすごい感動を覚えることは間違いありません」
「ただ、見ていただく機会…そのきっかけが正直ない現状がありますので、今回、交互に健常者とパラを開催することで、クライミングに興味を持ってくださる方々が『同じ日だったら』『次の時間なら見てみようかな』と思ってもらえないか、と考えました。見ていただければ、それ以上のことを我々がする必要はないのです。1度、ご覧になっていただければうれしいです」
パラクライミングは06年のロシアで初めて世界選手権が開催された。今年で20年目になるが、競技人口は多くない。
「パラリンピックの追加競技に採用された(28年ロス大会)のも最近ですし、まだ必死に組み立てている状況です。まだまだこれからの競技です」
そのため、今回のグランドファイナルズ福岡では、国際大会に出場する機会の少なかった国、選手、新たに「パラクライミングの道を歩みたい」と志す人たちに「未来への扉を開く大会」として、チャレンジの場を提供する。
発展途上の種目を成長させるため、期間中にはワークショップも開く。技術的な向上を支援するだけでなく、強い「パラコミュニティー」を形成していくことも目的に、運営していく。
■大会名 IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025(IFSC NATIONS GRAND FINALE/IFSC PARA CLIMBING MASTER)
■日程 2025年10月23日(木)~26日(日)
□23日(木)午前10時30分~リード予選、午後2時30分~ボルダー予選
□24日(金)午前10時~ボルダー敗者復活戦、午後6時~リード決勝
□25日(土)午前10時~パラクライミング予選、午後2時~ボルダー決勝
□26日(日)午前10時~パラクライミング決勝、午後3時~エキシビション
■会場 筑豊緑地公園/いいづかスポーツ・リゾートザ・リトリート(福岡県飯塚市仁保8の37)


