スピードスケート女子で、夏冬通じて日本女子最多の五輪10メダルを獲得した高木美帆(31=TOKIOインカラミ)が4日、現役引退の意向を表明した。
自身のインスタグラムで、世界選手権(5~8日、オランダ)をもってスケート人生を一区切りとすると明かした。2月のミラノ・コルティナ五輪では3個の銅メダルを獲得し、大台の10個に到達。日本勢最多のW杯通算38勝など数々の金字塔を打ち立てたスケーターが最後の舞台に挑む。
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五輪閉幕からわずか10日、日本のエースが決断した。4度目の五輪を終えた高木は、SNSに思いをつづった。「世界オールラウンド選手権を私のスケート人生の一区切りにしようと思っていることをご報告いたします」。最後の舞台を前に宣言した。詳細は帰国後に説明する考えだという。
道なき道を切り開いた希代のスケーターが氷上を去る。10年バンクーバー五輪に同競技最年少の15歳で出場した。「スーパー中学生」は、14年ソチに落選を経験し、18年平昌からは大躍進。金2、銀4、銅4。「冬季最多」「日本女子最多」「1大会最多メダル」。あらゆる称号を手にした。
26年五輪では3度も表彰台に立った。まだ31歳。体は動く。スピードスケートでは、22年北京1500メートル金メダルが35歳のイレイン・ブスト(オランダ)だった例もある。4年前も引退が頭をよぎったが「1500メートルで金メダル」のために現役を続けた。今回は6位。願い続けた頂点にはまたも届かず、4年後を目指す道もなくはない。それでも決断したのは、4年間の歩みがあったからだった。
23年から「teamGOLD(チームゴールド)」を結成。北京まで所属した日本連盟のナショナルチームを離れ、前例の少ない個人チームを作り上げた。スポンサーと直接対話し、「高木美帆」としての契約金をチームに投資。スタッフの配置や、連盟との調整まで多くの役目をこなした。「選手」にとどまらず「オーナー」「フロント」の役目を兼任。その月日を「かけがえのないもの」と表現した。「スケート人生でチャレンジしたことで得られたものもある。充実した4年間でやり残したことはパッと思い浮かぶものはない」。ミラノではすがすがしい表情で振り返っていた。
最後は世界選手権に決めた。500から5000メートルと、短距離から長距離まで争う「オールラウンダー」の世界一を決める。陸上にたとえれば100メートルから1500メートルまでこなすようなもの。五輪で4種目でメダルをつかんだ先駆者だからこそ挑める道で、ラストを締めくくる。「残りの期間も変わらずに、スケートに向き合い続け、高みへ挑みにいきます」。後世に残るスケーターが最後に美しい姿を見せる。【飯岡大暉】
<高木美帆(たかぎ・みほ)>
◆生まれ 1994年(平6)5月22日、北海道幕別町生まれ。
◆身長 165センチ。
◆競技歴 兄姉の影響で5歳から。7歳で始めたサッカーでもU-15代表合宿に参加した腕前。
◆俊足 札内中で、長距離も短距離も男子を含めた全校生徒の中で3番以内。
◆聖子2世 500メートルから3000メートルまで計4種目をこなすオールラウンダー。
◆趣味 ジグソーパズルと音楽鑑賞。昨年には菜那さんと家入レオのライブに参戦。
◆好きな映画 「もののけ姫」。セリフも覚えており、昨夏同部屋の堀川へ解説しながら視聴。
◆一人三役 23年に結成した新チームではオーナー兼フロント兼選手。スポンサーとのやりとりや、スタッフ配置などをこなした。
◆家族構成 父愛徳(よしのり)さん、母美佐子さん、兄大輔さん、姉菜那さん。


