日本バレーボール協会(JVA)の元幹部が女子有力選手の日本国籍取得を巡る手続きで上申書の偽造を試み、無断で提出していたことを受け、協会が18日に公式サイトで声明を発表した。事実と異なる文書を作成したことを認めた一方で、組織として関与していない点を強調した。また、都内で行われた会見に出席した川合俊一会長(63)が、同件に言及。19日に記者会見を行うと説明した。
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SVリーグとの連携会議進捗(しんちょく)報告会に出席した川合会長の顔に、危機感はなかった。「連携会議はものすごく大事なもので、こんな日に記事を出されて『ん?』という感じ」。自身が会長を務める組織での不祥事で、選手の将来が危ぶまれているにもかかわらず当事者意識はゼロ。冒頭で質問を本会議に関するものに限定して説明責任を果たさず「近々で記者会見する。その時にお答えする」と19日へ先送りにした。この日は「怒ってる」と足早に切り上げ、“被害者”の振る舞いだった。
協会はこの日午後「日刊スポーツによる報道について」と題した声明を公式サイトで発表。「チーム側の不同意により、実際には成立しなかった『上申書案』の内容と、同様の趣旨のもの」と、虚偽の内容を含む文書の存在を認めた。第三者委の調査報告書に同件が含まれていなかったことにも触れ、協会として「初めて認知した事象」と強調。組織として把握できていなかった事実そのものが、ガバナンスの機能不全を露呈している。
その上で「川合会長をはじめJVAとしての指示が無い中で、正式な手続きを経ず、無断で」とあくまで組織の関与を否定。「大変遺憾」とやはり“被害者”の側で断じ「作成者を含め事実関係についてしっかり追及し、しかるべき対処を行う」と表明した。文末では「ガバナンス体制の構築、強化を、現在進めておりますが、その実効をしっかり担保すべく、より一層努力」と再発防止を掲げたものの、実際に「日本バレーボール協会」の名義で提出された事実は重い。同協会、そしてバレーボールそのものの信頼を揺るがす問題に発展している。
◆問題経過 18年に来日した選手が、日本人男性と結婚後の23年1月に国籍取得を開始。「継続的な滞在」が必要な中、オフの半年間は帰国していたため難航し、代表入りさせたい協会の当時幹部が「海外出張命令」を装って要件緩和を画策した。24年5月に国への上申書「案」として作成したが、チームに「事実と異なる」と拒否されて撤回。25年6月に一連の動きが発覚した際に第三者委が検証し「未提出だった」と結論づけたが、実際は架空理由のまま無断で作成が進められ、チームに隠して、協会名義で法務局に提出した。この上申書によって申請が進み、選手は24年6月に国籍取得。だが協会が国際連盟の規定変更を見落としたため日本代表資格のない“代表難民”となっている。


