大阪桐蔭(大阪第1)が平成最後の大会で悲願の初優勝を飾った。大接戦の末に26-24で桐蔭学園(神奈川)とのAシード対決を制した。2点差に迫られた後半ロスタイムにCTB高本幹也(3年)が相手ボールを奪う魂のタックルで決着をつけた。同校の野球部は昨年の甲子園で春夏連覇と秋の福井国体でも優勝。今回のラグビー部の日本一で「春夏秋冬」の完全優勝リレーを達成した。

1年前の悪夢を、1発のタックルで振り払った。残り2分で2点差に迫られ、勝負は後半ロスタイムまでもつれた。反則すら許されない。大阪桐蔭のCTB高本は連続攻撃を止めるため、逆サイドから全力で戻った。「(ラインが)余られていた。ドンピシャで入らないとヤバイ」。瞬時の判断で1人、飛び出した。敵陣22メートルライン付近。相手CTBに突き刺さるような魂のタックルでボールを奪う。最後は自らボールを蹴り出し歓喜の瞬間を迎えた。

「あれは自分の判断です。タックルは苦手。肩を当てるのは強くないから。勇気がいったけれど、気持ちを込めた。昨年のことを思い出して、嫌な予感がしていましたから」

前回大会決勝は東海大仰星(現東海大大阪仰星)との大阪決戦だった。7点差を追う後半ロスタイム、最後の望みをかけた攻撃。当時2年生SOだった高本は敵陣で突破を図り、タックルを浴びてボールを落とした。起き上がった瞬間、無情のノーサイドの笛。1年の歳月を経て偶然にもあの時と同じバックスタンド寄りの22メートルライン付近で、今度はうれし涙にくれた。

この1年間は「春夏秋冬」で大阪桐蔭が日本一に立った。野球部が昨年、春夏連覇に加えて秋の国体も制覇。昨季準優勝のラグビー部も、屈辱を糧に13度目の花園挑戦で初の栄冠を手にした。CTB松山主将は「まだ信じられない。最高。『(野球部に)やったぞ!』と伝えたい」と興奮気味に話した。

平成最後の大会を大阪勢の優勝で締めくくった。平成の30大会で、大阪勢は15回、日本一になった。怪物2年生ことフランカー奥井は「僕はもう1年ある。またここに戻ってきます。この強さを継続したい」。新時代での2連覇へ-。新たな歴史が刻まれる。【益子浩一】

◆圧倒的に強かった大阪勢 平成の計30回の大会で大阪勢が半分の15大会で優勝。01年度から啓光学園が4連覇を果たせば、その後は東海大仰星が台頭するなど、花園に3代表を出す大阪勢のレベルの高さがより顕著になった。

◆史上初のアベック優勝 花園で初優勝した大阪桐蔭は昨夏の甲子園でも日本一に輝いており、同じ高校が同一年度に甲子園と花園を制するのは史上初の快挙。90年度に天理(奈良)が夏の甲子園で優勝も、花園では準優勝に終わっている。夏の甲子園は第100回大会を終え、花園も今回が第98回大会。野球、ラグビーともに同じ高校が全国優勝する難しさは、長い歴史が証明している。

◆大阪桐蔭の主な3年生の予定進路

稲留、立木(関大)河村、伴井(関学大)高本、松山(帝京大)三島、村木(近大)江金(青学大)秋山良(大阪国際大)秋山哲(大体大)中川(立命大)井道(大産大)堤田(京産大)