大学ラグビー界の星が、23年ワールドカップ(W杯)フランス大会の日本代表の星になる。W杯日本大会の影響で中断していた対抗戦が再開。成蹊大に120-0で圧勝した早大主将のSH斉藤直人(4年)が、23年大会への決意を口にした。昨年8月にはW杯に向けた日本代表候補に、大学生で唯一選ばれた逸材。メンバー入りを果たせなかった悔しさをバネに成長することを誓った。

勝利を収め、笑みを浮かべていた斉藤の顔が引き締まった。W杯での日本代表の活躍について問われると「うれしい半面、そこにいたかったなって思った。自分がこの舞台に立ててたらどうだったのかなって」と素直な思いを吐き出した。

テンポの速さと優れたゲーム判断能力を武器に、1年時から早大の主力に定着。この日も、後半に途中交代するまで攻守でチームを先導した。ゴールキックも16本中14本成功するなど、キックも魅力的なSH。昨年は大学生で唯一日本代表候補に選ばれ「W杯が近づいた意識は少しあった」というが、メンバー入りは果たせなかった。

悔しさをバネに、W杯期間中はトレーニングに励んだ。チームメートが日本代表の試合をテレビの生中継を見る中、ほとんどの試合を録画観戦した。「自分の足りない部分を伸ばす練習の方が大事。自分の成長を優先しました」。一方でW杯から学ぶことも多々あった。「デクラークとか、小さい選手の活躍を見て大きさは言い訳にならないと思った。自分の努力次第でどうにでもなる。自分はまだ足りない」。172センチながら体を張り続けた、優勝した南アフリカのSHデクラークにくぎ付けになった。

来春卒業後にトップリーグ入りは確実だが、その先を見据えている。「スーパーラグビーのサンウルブズには絶対に入りたい。日本代表のテストマッチの日程も出ているし、そこを目指して頑張りたい。4年後に向けて逆算して準備したい」と決意。桜のジャージーを身にまとい、フランスで戦う自分を想像した。【佐々木隆史】

◆斉藤直人(さいとう・なおと)1997年(平9)8月26日、横浜市生まれ。3歳からラグビーを始め、神奈川・桐蔭学園高3年時に全国高校大会(花園)で準優勝。高校日本代表をへて、早大では1年から主力で、17年にU-20日本代表入り。18年にはスーパーラグビーの日本チーム、サンウルブズに練習生として参加し、W杯日本大会に向けた日本代表の第2次トレーニングスコッド(候補選手)に名を連ねた。ポジションはSH。165センチ、73キロ。