ラグビーW杯フランス大会に臨んでいる日本代表(世界ランク13位)が“タックル日本”で2大会連続8強を決める。
前日9月30日に1次リーグ同組(D組)のアルゼンチン(同9位)がチリ(同22位)を59-5で圧倒。4トライ以上に与えられるボーナス点1点を得る勝利で勝ち点を9とし、総得失点差で日本を上回り、2位に浮上した。日本は8日のアルゼンチン戦(ナント)で勝利すれば8強。日本のみがボーナス点を得た引き分けでも進出となる。相手の1次攻撃に引かない、タックルが勝敗の鍵を握る。
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日本が8強に進む条件が決まった。勝利した9月28日のサモア戦から中9日で迎えるアルゼンチン戦。この日はベースキャンプ地のトゥールーズで静養し、2日の練習から準備は本格化する。前戦で両チーム最多18本のタックルを決め、同30日時点で全体2位49本と奮闘するフランカーのリーチは「もうちょっと質を高くしたい。次は25回、タックルできるように頑張る」と気合十分だ。
相手は前日チリ戦で快勝。ラインアウトからのモールに自信を持ち、時にBKの縦への突破を織り交ぜる。同戦31-0の後半16分には、相手陣22メートル左ラインアウトから1度はモールを作り、真横へのパスを受けて突破したCTBデラフエンテがトライ目前に迫った。日本の防御を担当するミッチェル・コーチは「私たちは“とりで”と言っているが、ダイレクトでCTBを使って、ラインアウトから攻撃してくる」。モール防御は大前提に、次の選択肢でも勢いを作らせないタックルが重要になる。
その“接点”でひるまない心身を育んできた。6月の千葉・浦安合宿では毎朝、テント内で地獄のタックル練習を繰り返した。手で服をつかむのは禁止。脇と肘を絞って相手の自由を奪う。1時間水を飲まず、膝に手をつけば罰則。試合の苦しい時間帯を想定し、理想のタックルを続けた。主将のNO8姫野は「きついタックル練習が実を結んでいなかったら嫌ですし、この大会のために強化してきた」と言い切る。ジョセフ・ヘッドコーチが好む言葉は「見たら負け」。磨き上げたタックルで先手を取り、相手の勢いと自信をそぎ取る。【松本航】