<水泳世界選手権>◇第13日◇1日◇バルセロナ◇男子200メートル個人メドレー決勝

 コースケ、やった銀メダルだ!

 男子200メートル個人メドレーで、萩野公介(18=東洋大)が1分56秒29で王者ライアン・ロクテ(28=米国)に次ぐ2位に入った。この種目では五輪、世界選手権を通じて日本人初のメダル、400メートル自由形の銀に続く異なる泳法での個人種目メダルも日本初の快挙となった。8日間で挑む7種目18レースの12レース目。疲労が蓄積される後半で、18歳が前人未到の記録を打ち立てた。

 ラスト5メートル、驚異的な伸びが先行するペレイラ(ブラジル)をとらえた。150メートルの折り返しは1秒以上の差をつけられた3位。最後の自由形で、スパートが爆発した。じりじり差を詰めると、最後の3ストロークはノーブレスで泳ぎきった。3位と100分の1秒差の銀。また1つ、水泳ニッポンの歴史を変えた。

 「銀メダルがとれたことは、良かったです。ただ、自己ベストに及ばなかったので」。快挙にも、顔色を変えずに言った。4月の日本選手権で出した1分55秒74からは遅れた。「ロクテはそれ(自己ベスト)よりも速かった。悔しい部分もあります」。どこまでも貪欲な男は言い切った。

 燃えるものがあった。31日の200メートル個人メドレー準決勝。五輪9個のメダルを誇るロクテは最後の自由形で、周りを挑発するようにスピードを落とし、トップで決勝に進んだ。実力の違いを見せつけるような行動。萩野は「決勝ではロクテについていきたい」とロクテとの「ガチンコ勝負」を誓っていた。

 8日間で7種目18レースの12レース目。体調は万全だったが、技術面では得意の背泳ぎで一抹の不安を抱えていた。4つの泳法を50メートルずつ泳ぐ200メートル個人メドレー。それぞれの泳法で単独種目とは違う泳ぎが求められる。2番目の背泳ぎは省力化してスピードを上げなければならない。「テンポが合わない」と泳ぎの切り替えに戸惑った。

 決勝前の午前中には200メートル背泳ぎ予選、午後には200メートル個人メドレー決勝と200メートル背泳ぎ準決勝がある。泳ぎの切り替えが大切だったが、体の軸を意識し、手と足のテンポを変化させて対応。早急に問題解決を図り、今大会2個目のメダル獲得につなげた。

 メダルを計算する200メートル個人メドレーと200メートル背泳ぎのある大会第5日の1日。本人もポイントの日に挙げていた。最大のヤマ場の日に、異なる泳法での個人種目でのWメダル、200メートル個人メドレーのメダルと、五輪、世界選手権を通じて日本初の快挙を達成した。もっとも、満足はしていない。銀メダルに終わったことを「まだまだ自分の力不足」。萩野の視線はさらに上を見ている。【田口潤】