<東京6大学野球:早大6-5慶大>◇最終週最終日◇5月31日◇神宮

 春の6大学は打って守って投げての「大石劇場」で幕を閉じた。早大の最速154キロ右腕、大石達也投手(3年=福岡大大濠)が「7番遊撃」で初先発。2回1死から右中間三塁打を放ち先制のホームを踏むと、8回からはマウンドに上がって2回無安打無失点。6-5で慶大に連勝し、早大の2位が確定した。

 来年ドラフトの超目玉が、ケガを恐れずダイブした。6回無死、豪雨の中「遊撃手」大石は中堅に抜けそうな打球に飛び付き、最速154キロの「強肩」で刺した。「必死でした。体が勝手に動いた。(投手の)松下さんが調子悪そうだったので何とかしたかった」と全力プレーでもり立てた。

 1年春にも1度挑戦したが、1週間前から本格練習を再開した。高校途中までは中堅手だった。応武篤良監督(51)は「皆さんは驚いたかもしれませんが準備はしていた。一番バッティングがいいし、使い方では宝の持ち腐れになってしまう」と異例の投打二刀流にした。

 大石は2回1死から右中間三塁打を放ち、先制のホームを踏んだ。5回の守備機会をこなし、8回からは泥だらけのユニホームでマウンドに上がった。本職では最速149キロで2回0封。直前の7回1死二塁で打順が回ってきたため、凡退後ブルペンにダッシュ。慌てて肩をつくり「アップ的な感じだった」と再び走ってマウンドに向かった。

 ドタバタ登板でも結果は残す。入学当初から遊撃構想を持つ応武監督は「一流選手はイチローも鳥谷も元はピッチャー。何に向いているか2人で話し合っていきたい」と真顔で話す。大石は「ショートだけになったらきついです…。やっぱりピッチャーやりたい」と終始苦笑いだった。【前田祐輔】