“甲子園シフト”へ、事前準備OKだ。第88回選抜高校野球(20日開幕・甲子園)に出場する札幌第一が16日、甲子園練習を行い、外野の司令塔となる辻陸人中堅手(3年)は、風向きや芝の状態など、臨時コーチの元横浜・小倉清一郎氏(71)が挙げた重点ポイントを確認。チームは約30分の練習時間全てを内外野の連係など守備に費やし、初戦となる22日木更津総合(千葉)戦へイメージを膨らませた。
甲子園特有の“10メートルの隙間”を目に焼き付け、憧れた緑の芝を慎重に踏みしめた。さっそく始まったシートノック。何人かの外野手が転倒した。札幌第一の中堅手、辻は「芝が滑りやすいので、送球の際は普段よりステップの歩幅を狭くしないと」と肝に銘じた。臨時コーチの元横浜部長、小倉氏は「甲子園の芝は強く、スパイクが刺さらない。だから滑りやすい」。甲子園で百戦錬磨の知将の指摘を、思い返した。
もう1つ、確認すべき課題を小倉氏から与えられていた。両翼の外野フェンスとアルプス席の間にある、フェンスの切れ目だ。約10メートルの隙間は風の通り道となっており、いたずらな打球を生む。この日は無風で確認はお預けとなったが「左中間、右中間の幅が特に広い。いつもの守備位置だったら追い付けない」。昨夏の南北海道大会札幌地区予選2回戦、8回に5失点し大逆転負けした試合で、打球が頭上を越えたシーンが忘れられない。「あと何歩か後ろに下がっていたら」。以来、守備の位置取りには細心の注意を払うようになった。
今回、小倉氏の指導を受け、野球センスを開花させつつある。宮崎合宿中の9日には、夜のミーティングで小倉氏の質問に答えられず「サインペンでおでこに×印を書かれちゃいました」。厳しい指導も天性の明るさで笑い飛ばしてきた。俊足を生かし、攻撃ではリードオフマン、守備でも外野の要。「甲子園では投手を助ける守備がしたい」。身長162センチの小兵が、聖地の広いフィールドをしっかり守る。【中島宙恵】

