「九州ナンバーワン野手」として注目を集めるのが鎮西(熊本)の立岡宗一郎(3年)だ。走攻守3拍子そろった逸材をプロ12球団がマークしている。

 50メートル走は6秒7。遠投105メートルという逸材の「武勇伝」はまず高校入学時につくられた。立岡に声をかけた学校は全国から実に48校に上った。高校入学直後の春の九州大会でベンチ入り、満塁で迎えた初打席で右フェンスに直撃する三塁打を放った。試合が降雨ノーゲームとなったため記録は「幻」となってしまったが、ひと振りで天性のセンスとパワーを見せつけた。

 高校通算本塁打は27本。秋まではクリーンアップだったが、春から1番に座った。「立岡が1番になってから打線がいい回転をするようになってきましたね」と江上寛恭監督(41)。1番立岡は公式戦では第1打席はすべて出塁している。それまで勝負してもらえなかったことも多かったが、1番になると出塁率も上がり、得点にうまくつながるようになった。「最初に打席に立てるのがうれしいです。1番になってボールに手を出さなくなって打てる球をしっかりとらえられるようになりました」と立岡の打撃にもいい効果を与えている。

 夏の前哨戦のNHK旗で優勝し、大きな弾みをつけた。「勝ち方も分かったし、甲子園に行かないといけないという雰囲気になってきました」。甲子園へのラストチャンス。立岡がこの夏の主役になる。