西武がついに球団ワーストタイとなる12連敗を喫した。ドラフト1位の高橋光成投手(18)をプロ初登板初先発で華々しくデビューさせたが、4回途中4失点でKOされた。打線も中村の2年連続30号となる3ランで1点差に迫ったが、惜敗で79年の連敗記録に並んでしまった。獅子が谷底に転落し、もがき苦しんでいる。

 希望をドラフト1位右腕に託したが、光にはなれなかった。高橋光が球団では99年の松坂大輔以来となる高卒投手のルーキーイヤーの初先発初勝利を目指したが、4回途中4失点で夢と散った。12度目のため息交じりの落胆が本拠地を包み込んだ。

 緊張の序盤は3回1失点と乗り切った。「自分の良さは投げっぷり」の言葉通り、右腕を振り抜き、最速150キロを3度マークした。ダイナミックに体を使い、フォークも鋭く落ちる。一方で変化球の割合が高く、直球とともに制球が時折暴れた。4四死球に「打たれるというより自分で崩れてしまった。先発としてゲームをつくれなかった」と責務を負った。

 金の卵のデビュー戦としては酷な状況だった。36年ぶりの11連敗中。相手は無敵の首位ソフトバンク。前回登板の7月28日の2軍ヤクルト戦では5回5失点で中4日しか間隔が空いてなかった。潮崎2軍監督も「正直、状態はよくない。でも起爆剤という意味では、大きな爆発力がある」とポテンシャルに託した。キャンプから2軍でじっくり育成してきたが、苦境に方針転換を迫られ、火事場に送り込むしかなかった。

 それ以上に投打の歯車がかみ合わない。森を3番、栗山を5番に据えたが、ともに好機で1本が出ず。7回に中村の30号となる3ランが出たが、終盤の相手の強力リリーフ陣を考えれば、時すでに遅かった。

 田辺監督は高橋光に「彼なりの投球はしていた。その中でいいところ悪いところはあった。今後に生かす材料にしてほしい」と一定の評価を下した。1軍同行を続け、9日のオリックス戦での先発が濃厚だ。

 将来のエース候補のデビューは未来への大きな1歩だ。だが12連敗目という現実からは逃れられない。指揮官は「負けが込んでいるチームの勢いのなさ。いい流れで来ていれば、簡単にポンと出る。でも何とかしようという気持ちが強すぎるから。その思いはよく分かる。何とかみんなで勝ちを取る姿勢でやるしかない」と締めた。【広重竜太郎】

 ◆高橋光成(たかはし・こうな)1997年(平9)2月3日、群馬県生まれ。小学1年から利根ジュニアで野球を始める。前橋育英では1年秋からエース。2年夏の甲子園に出場し1回戦(岩国商戦)で歴代2位の9者連続三振をマークするなど、初出場初優勝。3年夏は群馬大会3回戦敗退。2、3年時に高校日本代表。14年ドラフト1位で西武入団。家族は両親と姉、弟。188センチ、90キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1300万円。