<横浜4-0広島>◇16日◇横浜

 横浜のルーキー小林太志投手(25)が広島を散発4安打、わずか95球で完封し4勝目を挙げた。新人が100球未満で完封したのは16年ぶり。横浜は今季ここまで完投したゲームがなく、小林の「エコ完封」が、今季チームの初完投にもなった。

 ブルペンの仲間と握手した瞬間が、何よりうれしかった。横浜小林が完封でプロ初完投勝利。「中継ぎの人たちは毎日投げて大変。少しでも休んで欲しかった」。散発4安打、わずか95球のシャットアウト劇だった。チームとしても今季80試合目にして、ようやく初の完投投手。0封で勝利したのも初めてだ。チームの連敗も4でストップ。9連戦の最中に、新人が大きな仕事をやってのけた。

 制球が光った。打者28人に対し、初球ボールは9人だけ。カウント0-2になったのも、9回の2人だけだった。無四球で、二塁も踏ませなかった。「力んで投げても、2ボール、3ボールとなって野手のリズムもなくなりますからね」。プロ入り当初と比べ、セットからゆったり投げるようにした。初回、2回、5回と先頭打者を出したが、すべて併殺で切り抜けた。直球で鋭く内を突き、スライダー、チェンジアップをコーナーに決めた。

 JR東日本出身の小林にとって、心強い“応援団長”が現れた。今月初め、横浜スタジアムの最寄り駅であるJR関内駅の駅長に、前野球部監督である中野真一氏が赴任した。直接指導を受けたことはないが、「変な投球をしたら怒られますよ」と話していた。

 この日の投球は文句なし。「いい報告ができる?

 まだまだですよ」。新人完封は今季リーグ初だ。球団としても97年川村以来だが、まだ4勝目。「2けたは勝ちたいですね」。目標は、もっと上にある。【古川真弥】