<パCS第2ステージ:西武9-0日本ハム>◇第5戦◇22日◇西武ドーム

 日本ハムの3年連続の日本シリーズ進出はならなかった。西武とのクライマックスシリーズ(CS)第2ステージは2勝4敗に終わった。逆王手で最終戦に望みをつなぎたかった第5戦は、西武エース涌井の前に打線がわずか3安打と沈黙。あわやノーヒットノーランの0-9で完封負けした。就任1年目の梨田昌孝監督(55)はレギュラーシーズン3位に滑り込み、CSも第1ステージはオリックスに連勝で突破したが、最後はリーグ覇者に力負けした。

 一番でベンチを飛び出した。梨田監督が最後の打者となった稲葉を出迎えた。08年終戦。選手1人1人をねぎらうと、左翼席ファンへのあいさつへも真っ先に向かった。ダルビッシュ、森本らが重い足取りで、丸く、優しく、大きな背中についていく。3年連続の日本シリーズは果たせなかった。0-9、3安打での完敗。「もうちょっと長くやりたかった」。敗軍の将は、素直に胸の内を明かした。

 挑戦者として戦った1年だった。2年連続の日本一を逃し、ヒルマン監督が辞任。新生チームとして船出した。8月中旬まで2位をキープも8、9月に失速。ギリギリ3位で進んだCSだった。弱音は吐かなかったが「でも本当は苦しかったけれどね」。9月16日からの楽天戦で3連敗。その時はBクラスも覚悟するようなチーム状況だった。

 挑み続けたからこそ、最低限の結果を出したが、土壇場で「挑戦者」になりきれなかった。この第2S第1戦の先発。苦悩したが、受け身になった。西武に1勝のアドバンテージ。勝てば振り出し、負ければ2敗となる大切な初戦。最後までグリンか、ダルビッシュかで苦悩した。最終的に県大宮の悪環境を考慮。繊細なエースではなく、敗れた時のダメージを憂慮した。ぶつかっていくのではなく、守り入った結論を出したのは梨田監督だった。

 投手コーチの意見を反映させての選択。「短期決戦で一番大事なのは初戦」と言い続けてきた梨田監督のセオリーならエース投入だが、周囲の意見を尊重した。グリンは初戦で大敗、そして第5戦も3回途中5失点KO。この日2番手で好投した藤井が、実は第1S第2戦で打球を受けた右手首を骨折していたアクシデントも、台所事情を苦しくした。明日23日の第6戦で先発予定だったダルビッシュを1試合しか使えず、ジ・エンド。シーズン中からの信念を貫き、周りを立てたが、結果的には失敗に終わった。

 3年ぶりに日本シリーズ開幕を待たず、1年が終わった。2度目は巡ってこなかったダルビッシュは、痛恨の思いを隠そうともしなかった。「負けている。負けですから、しょうもないシーズン。もっと(成績の)数字を上げな、アカンなと思った」。3戦連続欠場していた稲葉を先発DHで起用も時すでに遅し。その主砲は「悔いはない」と前を向いた。リーグ3位からの大どんでん返しは夢と消えた。「最善の努力はした」。後悔の念を隠すように、梨田監督は言い切った。

 ヒルマン監の幻影、過去2年の輝かしい過去…。独自色を出せば失うものも多かったかもしれない08年は、終わった。試合中のベンチでは、5回終了時に飲むホットコーヒーが楽しみだった。ファンの視線、周囲からの重圧-。いろいろな呪縛(じゅばく)の中、決して潤沢ではない戦力をやりくりし、この日までたどり着いた。梨田監督の真価が問われる来季。本物の挑戦者になる下地は、できた。【高山通史】