野球体育博物館は13日、今年の野球殿堂入りを発表し、4人が選出された。競技者表彰のエキスパート部門には元大洋監督の故青田昇氏が選ばれた。殿堂入りは計168人となった。表彰式は7月24日のオールスターゲーム第1戦(札幌ドーム)で行われる。

 青田氏は昨年から設けられたエキスパート部門で、初の選出者となった。川上哲治氏(日刊スポーツ評論家)らと巨人の主軸を担い、本塁打王5度などに輝いた。奔放なプレーは「じゃじゃ馬」と言われた。コーチとしても阪神と阪急でリーグ優勝を経験した。

 殿堂への道は遠かった。79年秋に巨人のヘッドコーチに就任しながら、暴力団に関連する「舌禍事件」で開幕前に解任された影響があったことは否定できない。祝辞を述べた杉下茂氏は、青田氏が手りゅう弾投げの日本最高記録を保持していたとし、伝説の長嶋巨人の伊東キャンプについて「79年秋の伊東キャンプを発案したのは青田さん。あれで見違えるようなチームになった。選手への情熱はすごかった」とたたえた。

 会見に出席した満子夫人(77)は「青田が健在なときに自身の手で受け取ってほしかった」との思いを吐露し、「応援し続けてくださった方がいたことに深く感謝します」と頭を下げた。8人の子供に恵まれ、17人いる孫のうち3人が少年野球の選手という。青田氏の写真パネルと一緒に撮影されながら「あんまり若いから、孫と撮られているみたいね」と笑っていた。

 [2009年1月14日8時40分

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