<阪神3-2中日>◇30日◇甲子園

 優勝を意識するのはまだ早い-なんて城島さんはおっしゃってましたが、もう虎党はその気です。2点を追う2回、各駅停車ばりの単打5本を集めて同点。すっきりしないモヤモヤを城島さんが晴らしてくれました。4回、左越えに18号決勝アーチ。守っても久保-球児を好リードして快投を引き出した。確かに、まだ7月の終わり。でも、この強さなら…意識するなと言っても無理ですわ。

 筋骨隆々の両腕から、城島健司捕手(34)がバットにパワーを伝えた。浜風と“黄色い”大声援の後押しを受け、打球が左翼ポール中部を巻く。「ホームランもちゃんと人のおらんところ(アルプス席と外野席の間)に打ちました」。試合中に残したちゃめっ気たっぷりのコメントは虎党を喜ばせるため。貴重な1点の重みは試合後、心地よく実感できた。

 城島

 ゲームが動いていたし、あれが決勝点になるとは思わなかった。ただ、あの1点があったから思い切っていけた。同点でリードするのと、勝ってリードするのでは全然違うから。

 息詰まる熱戦。終わってみれば、4回に決勝点が生まれていた。2-2の同点で迎え、マウンド上には中日吉見。先頭で打席に立ち、真ん中高めに浮いたフォークを逃さなかった。球宴を挟み6試合ぶりの18号ソロ。値千金の1発だった。

 虎を思う気持ちは片時も忘れない。球宴第2戦が行われていた24日の新潟。球団関係者に頼み込んでTシャツ約40枚を購入してもらった。送り先は打撃投手、トレーナー、通訳ら球団の裏方さんたち。城島が提案して藤川に久保、平野、ブラゼル、マートンに呼びかけ、約10万円の料金は選手6人で分け合った。「マツダオールスターゲーム2010」と刻まれたTシャツは日ごろからの感謝を表したモノ。そんな男だから、この日もチームの勝利が一番うれしかったはずだ。

 「良いゲームをして勝ったのは大きい。久保はうちのエースだから。(中日、巨人と戦う9戦の)初っぱなだし、久保が投げる試合は勝たないと」

 後半戦開幕前には「軸になる投手が投げる試合で負けない、取りこぼさないことが大事」とコメントしていただけに、この1勝は大きい。久保の好投をリードし、自身も6月10日西武戦(西武ドーム)以来の猛打賞。1点リードの8回2死一塁からは今季5盗塁目となる二盗も成功させ、最後までチャンスを呼んだ。これで2試合連続の決勝打。後半戦全3試合で打点を記録している。勝負強さで首位堅守を導いたが、城島はあくまで冷静だ。

 「今は首位を意識する時期じゃない。9月に入って貯金が多い方が楽ですけど。今はチームの勢いを止めないようにしたい。良い流れを切らないように選手は一生懸命やっています」。心地よい風が吹き抜けるお立ち台。城島は言葉に力を込めた。【佐井陽介】

 [2010年7月31日11時0分

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