球団売却交渉が進む横浜の本拠地、横浜スタジアム鶴岡博社長(70)が4日、横浜残留へ向けて強い姿勢で臨む考えを示した。住宅設備大手の住生活グループへの「身売り」に伴い、新潟を準本拠地とする見方が出ていることに「まだ交渉先の方と話したわけではなく、現状で先方の考え方は分からない」と前置きした上で「もし横浜残留が交渉の条件でないならば、アクションを起こすつもり」と明言した。

 具体的には地元企業と協力し、署名運動などを行う考え。球団買収に名乗り出た地元企業、家電量販店のノジマ(本社横浜市)の野島広司代表執行役社長からも協力を求める連絡が来たという。「ベイスターズが横浜を出るというならば、野島さんとも協力し、横浜軍というか地盤の力を見せたい」。

 新潟は、特定球団が年間20試合程度を行う準本拠地を目指している。しかし、同社長は「準本拠地というのは、どちらにも中途半端で地域に根付かない」。今年は主催72試合のうち8試合を本拠地以外で組んだ(1試合は雨天中止)。同程度を限度と考えている。

 移転話が出てきた背景には、球場との契約に対する球団の不満がある。巨人渡辺恒雄会長も横浜スタジアムとの契約内容が経営難の一因と指摘した。これに対し、鶴岡社長は「きちんと調べてから発言していただきたい。設備投資もうちですべてやっており、内容を精査すれば決して高くはない。機会がくれば(新オーナー会社に)説明したい」と反論した。

 新潟の受け入れ体制などの問題から、当面は年間10試合の開催が限度。いきなりの準本拠地化は現実的ではない。ただ、地域との連携や球場問題も含め、球団運営を根本から見直す機会であることは間違いない。

 [2010年10月5日9時15分

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