楽天が、近日中に金炳賢(キム・ビョンヒョン)投手(31=米独立リーグ)の入団テストを行うことが11日、分かった。金はアンダースローから150キロ近い直球、高速スライダーを駆使する韓国を代表する投手。99年にメジャーデビュー、78試合に登板した01年には19セーブを挙げ、ダイヤモンドバックスのワールドシリーズ制覇に貢献した。メジャー通算54勝、86セーブ。超大物サブマリンの現在の力量を確かめ、獲得するかどうか判断する。

 「コリアン・サブマリン」が楽天のテストを受ける。米、韓両国球界関係者の話を総合すると、金自身が日本でのプレーを強く希望しているという。来週中にも韓国から来日し、国内でテストを受ける方向で調整が進んでいる。

 日本の野球好きにもなじみの深い超大物だ。アンダースローながら、投球スタイルは打者の懐を思い切りえぐる本格派。ダイヤモンドバックス時代はクローザーとして世界一に大きく貢献し、02年にはオールスターにも出場した。06年には韓国代表としてWBCに出場し、日本戦でも登板した。闘争心あふれる抑えの専門家として名をはせた後、05年後半ころからは投球の幅が広がり、先発もこなすようになった。メジャー通算9年で54勝、86セーブ。過去に来日した外国人選手と比較してもトップクラスの実績を誇る。

 契約のもつれが理由で08、09年と浪人生活を送った。だがトレーニングを継続し、今季は独立リーグのオレンジカウンティに所属。10試合に登板し3勝1敗、防御率2・56の成績を残した。年齢は31歳で故障もない。楽天は数日間にわたるテストで慎重に現在の力量を見極める方針だが、実力を発揮すればチームの一員となる可能性は十分にある。

 楽天の投手事情に照らせば、金の豊富な経験は合格への大きな後押しとなりそうだ。今季はシーズン通し抑えの固定に苦労した。加えてエース岩隈の来季メジャー移籍が決定的で、年間200イニングの穴埋めも懸案事項となっている。セットアッパーを務めた青山、片山が先発に挑戦し、シーズン終盤に抑えとして定着した小山が中継ぎに回る公算が大きい。

 球威が戻っていれば、ヤクルト林昌勇のように安心して9回を任せることができる。先発としての適性も証明しているため、チーム事情で柔軟な起用もできる。本格派のアンダースローはパ・リーグには皆無で、相手にとっては大きな脅威となる。投手出身の星野監督は、ディフェンスの整備でチームを安定させ、中日、阪神をリーグ優勝に導いた。世界の舞台をくぐり抜けてきた潜水艦が杜(もり)の都で浮上し、星野楽天の救世主となれるか。

 [2010年11月12日11時39分

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