<横浜4-6ヤクルト>◇13日◇横浜
まさに新「カリブの怪人」だ。ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(26)が2回に両リーグ一番乗りの10号ソロを放つと、3回にはバットを真っ二つに折られながらも11号2ラン、8回にはトドメの12号2ランと1試合3発の離れ業。チームにはかつてホーナー、ホージー、ミューレン、ペタジーニと強打の助っ人はいたが、もしかして最強助っ人はこの男?
バレンティンの左手には、バットのグリップエンドだけが残っていた。折れたバットは、バックネットに直撃。1点を勝ち越した直後の3回2死一塁。それでも、打球は左中間スタンドに飛び込んだ。185センチ、100キロの巨体。驚異のパワーに、スタンドのファンは騒然となった。
「いいスイングができて、シンでとらえられた。もしかしたら、前の打席でバットにひびが入っていたのかもしれない」と笑った。
左翼、左中間、バックスクリーンと3本のアーチを、横浜の夜空に掲げた。まずは1点を追う2回、初球をとらえ、両リーグ通じて10号一番乗りの同点ソロ。3回に2打席連続本塁打を放つと、仕上げは8回だ。無死一塁から、初球の145キロを中堅右に特大2ランをたたき込んだ。右手を掲げる姿に、ヤクルトベンチもあぜん。由規は、両手を合わせる「神様ポーズ」で拝んで迎えた。
卓越したスイングスピードに加え、配球をよむ力で日本野球に順応する。1本目はカーブ、2本目はスライダー、3本目は直球と、すべて違う球種をとらえた。試合前、ビデオ研究は欠かさない。「毎打席しっかりとしたプランを持って打席に立っている。どういう攻めをするか。どの球種が一番ストライクが取れるか」と熱心に学ぶ。
カリブ海に浮かぶオランダ領・アンティル諸島の出身。16歳だったプロ生活1年目は、150打席で本塁打は0だった。それが2年目から一変。「(出身地に)しっかりした指導者はいなかったが、コーチに巡り合って、ボールが飛ぶようになった」と懐かしんだ。
まだ26歳。ジャパニーズドリームをつかもうと、日本で長く生活することを希望する。伊勢総合コーチは「ベッドルーム10室ぐらいの家建てろや。プールもな」と激励する。遠征先では焼き肉を食べるなど、食事面の問題もない。「日本が大好き」と、会見の最後は「あだーっす」と叫んで締めた。【前田祐輔】



