<巨人4-1阪神>◇12日◇東京ドーム

 高橋由伸外野手(36)が食らいついた。延長10回2死一、二塁で、内海の代打で登場。「内海に勝ちをつけさせたかったし、つけなくちゃいけない」との一心だった。だからこそ、榎田の外角へ逃げる変化球に体勢を崩されても、動じない。何とか腕を伸ばしてはじき返し、熱狂する右翼席へ運んだ。原監督を「本能的に、彼の持っている高い野球技術を出せたのかな」とうならせた執念の1発は、8年ぶりのサヨナラ弾。「いやー、うれしいです」とほおを緩めた。

 10月はこの試合前まで19打数3安打で、スタメン落ちも増えた。だが「いいことも悪いことも、それが野球」と、日々気持ちを切り替えることに努めてきた。そして負ければ…という大一番で最高の結果を出した。「残り少ないけど、まだまだ頑張るしかない」。希望の灯を、簡単に消すつもりはない。

 ▼高橋由が代打サヨナラ本塁打。巨人の代打サヨナラ弾は09年の亀井義行内野手(29)以来で10人目(11度目)。高橋由のサヨナラ本塁打は03年7月6日中日戦以来で通算5本目になる。

 巨人のサヨナラ本塁打5本以上は、8本:王貞治、7本:長嶋茂雄、6本:二岡智宏、5本:原辰徳、清原和博、松井秀喜、阿部慎之助、坂本勇人、高橋由伸。

 高橋由は原らに並ぶ4位に浮上。5本のうち3本は阪神戦。巨人の選手が阪神戦で3本は宮本敏雄、長嶋、森昌彦、原、李承■の2本を上回る最多。※■は火ヘンに華