意見は言っても、型にはめない。DeNAの中畑清監督(58)が8日、“助言無視”を容認した。期待の筒香に打撃フォームのアドバイスを送ったが「聞き流してもらっても全然構わない」と、ビックリ発言。監督の威厳喪失にもつながりかねないが、その心は自ら考える力の養成。「選手が理解して、納得しながらいいものを求めていくことが大切」と、頭ごなしを封印して、勝てるチーム作りを進めていく考えだ。

 ティー打撃で、中畑監督はおもむろに筒香へ近づいた。昨年12月から打撃フォーム修正に取り組む若き主砲候補。1本足から、すり足気味にタイミングのとり方が変わったが、監督には「逆行してる」と感じられた。

 インフルエンザ療養中にビデオで見た、昨年秋季キャンプでの柔らかくて豪快なスイングが目に焼き付いていた。「かっこいいんだよ」と振り返ったが、決して元に戻せとは言わない。自ら実演した右足を内側から半円を描くように回すタイミングのとり方はあくまで参考。「こんなのもあるよ」と強要はしなかった。

 筒香は中畑監督の助言を受けながらも、自ら考え、フォームを昨季に近い形へ再修正した。フリー打撃ではキャンプ1号を放ち、「今日はいいほうだったと思う」と監督の思惑通りの結果を出してみせた。

 「選手は、これだけは譲れないという信念を持っていないとダメなんだよ」と中畑監督。上からではなく同じ目線に立つのがキヨシ流だ。【佐竹実】