<中日1-4巨人>◇17日◇ナゴヤドーム
「三種の神器」で、中日を競り落とした。ソフトバンクからFA移籍した巨人杉内俊哉投手(31)が8回1失点、10奪三振で今季2勝目(1敗)。直球、スライダー、チェンジアップで封じ込め、ナゴヤドームでは初勝利。チームはリーグ連覇中のライバルに今季負けなしの3連勝だ。新生高木竜に対し、早くも精神的に優位に立った。
杉内が敵地のマウンドを完全に支配した。リーグ連覇中の中日打線のバットはクルクルと空を切る。苦し紛れにバットに当ててくるが、凡打の山を築いた。右翼席から幾度となくもれるため息が気持ち良かった。移籍後2勝目でチームの連敗も阻止したヒーローは「三振も多かったし、自分らしい投球ができた。前の試合(15日DeNA戦)は嫌な負け方をしていたので、今日は大事になってくるとプレッシャーをかけていた。気持ちを入れて投げました」と、気持ち良さそうに額の汗を拭った。
この日の投球内容には「三種の神器」といえる必勝パターンがそろっていた。
<1>スライダー
中日の先発オーダーは投手山井を除き右打者が6人も並んだ。杉内は「7回、8回はバテましたね」としたが、テンポ良く投げ込んだ6回終了までに限れば、右打者へのスライダーの詳細は全17球中、ボール7球に対し、空振り4球(2球が勝負球)、見逃しストライク4球、ファウル1球、打ち取った勝負球1球。右打者の膝元を鋭くえぐった。捕手阿部の「調子のバロメーターをあえて挙げるなら、右打者へのスライダーで空振り、ファウルが取れるかだね」との予言はズバリ当たった。
<2>チェンジアップ
スライダーが決まり始めれば、当然のごとく外に沈むチェンジアップが威力を発揮する。制球に苦しんだ1日ヤクルト戦で130球中8球だったのに対し、この日は114球中2倍以上の19球と多投。1点差に迫られた8回2死一、三塁で森野を三ゴロに打ち取った勝負球も、左打者の外角へ落ちる、意表を突いたチェンジアップだった。前楽天ヘッドコーチだった橋上戦略コーチが「チェンジアップの制球がいいときは調子がいい。特に右打者は手をつけられないからね」。こちらの予言も的中した。
<3>直球
最速143キロながら球速以上の効果は明らかだった。特に4、5回は決め球に使った直球でフライアウト5個。変化球に対応しようと目線を下げた相手のバットは、ことごとくボールの下をこすり上げ、簡単にアウトを稼いだ。
持つ全ての球種が完璧だった。8回1失点で自身プロ通算105勝目をマーク。チームは宿敵中日に対し今季3勝1分けと、さらに優勢に立った。立役者の左腕は「(8回のピンチは)同点は仕方がないなって、開き直って投げたのが良かった」と満足そうにうなずいた。その余裕が左腕の自信を示す何よりの証拠だ。【為田聡史】



