<阪神2-1西武>◇6日◇甲子園

 指揮官が興奮しないわけがない。だって、5年ぶりの2試合連続サヨナラ勝利だもん。阪神和田豊監督(50)は努めて冷静に振る舞っていた。試合後は「巨人」の言葉に「全く関係ない」と即答。8回の攻撃前、スコアボードには「日本ハム2-1巨人」の途中結果が出た。大歓声の甲子園。虎党の期待も、手応えも、十分に感じるからこそ自分に言い聞かせるようだった。

 難攻不落のサブマリンを仕留めた。1回は「左打者がキー」の思いを西岡と鳥谷が体現。11球で先制した。終盤は自慢の救援陣がまたも奮投。最後は「非常にいい働きをしている」と4番を任せるマートンが劇的サヨナラ弾だった。かつての打撃職人は「泳ぎ気味だけど、牧田くんのスライダーは、ああいう打ち方じゃないと。ポイントを前に、リストを効かせてね」。解説にも力が入った。

 セの雄としてパの牙城を崩す。3カード目にして初めてパ・リーグに勝ち越した。交流戦も「貯金1」とし、上位にパが並ぶ順位表に風穴をあける。「試合がない日に気が抜けるから、疲れがドッと出るのよ」。試合前には交流戦の難しさを明かしていたが、弱音を捨てた。勢いがあるうちに1つでも白星を-。そんな周囲の声をさえぎるように、前を向いていた。

 「ずっとこういうペースでやってきた。明日1日空くけど、時間の使い方が大事。明後日からデー(ゲーム)、デーとなる。時間帯も変わるし、明日の過ごし方が大事になる」

 今日7日は甲子園で全体練習する。クラブハウスに引き揚げると、宿敵が逆転した。4日ぶりの首位返り咲きはお預けも、粘る巨人にピタリと追走。大きな巨人の背中から、虎は獲物を狙っている。【近間康隆】